青空
君はギターを弾く
窓の外は青空
悲しいくらいの
目が痛くなりそうな青空
夢物語は嫌いさ、と君は言った
お伽話は好き、と私は言った
世界のすべてを知っているとでも言いたげな瞳で私を見て
爆弾のような危なっかしい心を抱えて
精一杯の強がりで君は生きるんだ
私はそう思って、左手が和音を刻んだ
私はピアノを弾く
ただそれだけだ、と君は多分言う
私はいつもの反論を試みて、一蹴される
当たり前のように右手で弦を弾いて、君は私を馬鹿にする
私は無言で指を動かして
幸せを感じる
君はきっとそれを、ただそれだけだ、と言う
ただそれだけの幸せを私は噛み締める
演奏の合間に見えた弥生の空は青くて
ただそれだけのせいで、ピアノの鍵盤が濡れた