第三話〜夢〜
アイル達は村についてライラの家へ向かった。
森にいたからあまりわからなかったが、もう辺りも暗くなってきていた。
アイルは静かにドアを開けた。
「ライラ」
「ん?おお、帰ったか。どうだった?」
アイル達に気付き座っていた椅子から立ち上がり近付いた。
そして、三人が持ってる果実を見て口を開いた。
「こんだけか?」
「え…少ないのか!?」
ライラの言葉に三人は驚き、みんな(これで…?)という顔をして果実を見た。
「…まぁいい。明日も行ってもらうから」
怖い笑みを浮かべながら果実を受けとる。
苦笑しながらアイルは口を開く。
「ライラ…ちょっと」
「何だ?」
アイルは謎の生物の事をライラに話した。
「何か知らないか?」
ライラはしばらく沈黙していたが、アイルの顔を疑いの目で見ながら静かに口を開いた。
「…知らん。…疲れただろ。今日は休め」
アイルはライラが思いっきり疑ってるとわかって、唇を尖らせながら家へ帰った。
エンナもムエカも家へ帰った。
―アイル宅―
あれは何だったんだ…。見間違いか?でも喋ったし…、そういえばカイン様とか言ってたな…。カイン…、誰だ?
考えてもわかんねぇな。寝るか。
アイルは電気を消して、布団に潜り込んだ。
……何だここ…やけに綺麗だな…。
何で俺こんなとこに…
宇宙のような場所に何故かアイルはいた。
幻想的な微かな光が所々から出ている。
「カイン…やめて…くれ」
うわ!?なんだ!?カイン!?
急にアイルの目に映像が飛込んで来た。
血だらけの男が10歳くらいの子どもに命ごいをしている。
「ふふは…人間はクズだ!!」
やめろー!!
カインは素手の手で血だらけの男を切り裂いた。
アイルは目の前で起こってるのが何が何だかわからなかった。
カインと呼ばれる子どもが血だらけの男を切り裂く。見えてるだけで止める事もできない自分。
なんだ……?
なんなんだよ…。
意味がわかんねぇよ…。
うわ…
うわー!!!!!
「うわー!!!!」
あちこちに物がちらばって小汚い部屋。
アイルの部屋だ。
アイルは大声で起きた。
「……夢…?」
「…随分と騒がしいお目覚めですね…。大丈夫ですか…?」
汗だくになって息があらいアイルにサムルが静かに言う。
「サムル!?なんでまたいるんだ!?」
驚くアイルをよそに冷静に口を開く。
「…果実取り…私も行けと言われまして」
「そう…か…。はは」
溜め息をつくサムルに苦笑する。
そして、服を着替えてから外に出る。
外にはもうエンナとムエカもいた。
「やっと来たか」
ムエカはエンナがいるからまた真面目だ。
普通に考えればこっちの方がいいんだが、ムエカがこれは気味が悪い。
「遅いです。また寝坊?」
エンナが首を傾げ優しそうに微笑む。
「さて…行きましょうか」
サムルはいつでもマイペースだ。
そして三人は森へ向かった。