十五話
もしかしたら、2月まで更新できないかも。まぁ、時間見付けてちょこちょこ書けたらいいけどね。あ、主人公は外道ですので今回。途中で展開変えようかと思いましたが、結局突き進んじゃいました(笑)
結局二度寝出来なかった俺は、その後ぞろぞろ起き出して来た奴らと共に撤収作業を手伝った。
あぁ、何か寝るタイミング逃したと思うと眠くなってきた。
はぁ。俺はこらえきれずにあくびを一つすると、馬車に乗った。
予定では、目の前の森を抜けたら村があるそうでそこで2泊ほどするらしい。
村といっても、ドワーフの村に行くだびに経由するので商会が、宿屋に梃入れして立派なのがあるみたいなのだが。
ビバベット。
ひゃっほーい。
しかしお腹空いたな…、みんな朝飯の話なんか一言も話題にしないんだけど、今日は朝飯抜きなのか?
そう思って聞いてみると、
「はあ?朝飯?どこの貴族様よ、あんた」
とエレナが噛み付くようにそう返してきた。
「普通、朝飯って食べないんだ」
と俺はちょっと驚きながらそう応えると、
「当たり前だ。3食食べれるほど食料供給に余裕はないからな。食べてるとしたらそれは貴族か、裕福な奴ら位さ。こんな常識も知らないのか?」
ふふんと前髪を弄りながらそうおっしゃるタリス。
こいつちょくちょく上から目線の言葉入れてくるよな。
それがなければ、結構聞いたことには応えてくれるし面倒見のいいやつなんだとは思うんだけど。
ケンの野郎は俺たちの様子を見て、何か微笑ましそうな笑みを浮かべている。
お前は俺たちの父親か。
いや、そういえばこいつ一児を持つパパだったな。
奥さんとラブラブらしい。
というか、護衛隊の面々はほとんど妻帯者だ。
危ない職業だと思うんだけど、よく結婚しようと思うなぁ。
独身なのは女の子たちと、タリスだけらしい。
俺はこんな感じで雑談を続けながら、エレナへの復讐方法について考えていた。
やられたらやりかえさないとな。舐められるだろ?
そして、特に何事もなく夕方にはタギの村に着いた。
あ、ちなみにここの国の名前はメルキア王国というらしい。
俺が住んでた森一帯も含めて、ここら一帯を広く支配しているそうだ。
しかし、あの森、人間は基本立ち入り禁止らしい。
何かとある女神様のおわす神聖な場所なんだと。
あれ?となると、あの骨の人は罰当たりな人だったんだな。
まぁ、あの森で殺戮の限りを尽くしてた俺が言うことじゃないけど。
タギの村は、農業で生計を立ててる者がほとんどで小さな村といったところだったらしいのだが、儲けている宿屋が依頼などをして村に還元しているため、意外と賑わっていたりする。
傭兵らしきものもその辺を歩いていたり、堀や塀なども立ててあって、なかなかお金がかかっているように見えた。
村の中心に位置している宿屋もホントに村の宿屋なのか?といった具合に立派なものだった。
「おぉ、大分立派な宿だなこりゃ」
宿屋のガレージに馬車を入れ、そこから出てきた俺は宿を見てそんなことを言った。
部屋も期待できそうで思わず笑顔を浮かべてしまう。
「そうだろそうだろ。3年前に改築したばっかりだから、さらに新しくなったんだ」
ケンがどこか自慢げに答える。
俺たちはがやがやと宿屋に入っていくのであった。
酒を飲んでどんちゃんしながら、前の馬車に乗っていたやつらと友好を図り、ついでにエレナの話もちゃっかり聞きだした俺はその場をこっそり抜け出してエレナを俺の部屋へ誘っていた。
「はあ?何で私があんたの部屋に行かないといけないのよ」
とかぶつぶつ言っていたが、何だかんだで来てくれる感触はあった。
部屋に酒瓶を大量に運び込むとそれを一本だけ残して隠し、ジュースも用意しておく。
そして、ジュースにうろ覚えの魔法をゆっくり思い出しながらかけた。
コップに注いで一杯飲んでみる。
しばらくして効果を確かめた俺は一つ頷くとエレナを待つのであった。
「…来たわよ。何の用なの?」
エレナがノックもせずに部屋に入ってきた。
やっぱり何か警戒してる。
「お、ようやく来たか。とりあえず、座ってくれ」
と俺はまだ答えないで椅子を勧める。
「で、何なの?」
エレナは椅子に座ると、いぶかしむようにこちらを見ながら再度聞いてくる。
「いや、お前と個人的にもう少し話したいと思ってさ。魔法のこととかも聞きたいし。駄目か?」
と、俺はジュースをコップに注いで、エレナに渡す。
自分の分には酒を目の前で注いでみせた。
「ふ~ん…。でも、索敵の魔法はまけたりしないわよ?」
不適な笑みを浮かべてエレナはそういうとコップを受け取った。
「分かってるって。ほら、とりあえず乾杯しようぜ」
俺はコップを持ち上げる。
エレナの警戒も大分薄れたようだ。
「乾杯」
「乾杯」
二人とも一気に飲み干すと、俺はまたコップにそれぞれ飲み物を注いだ。
………………
…………
……
「…あ、あれ?」
ふっ、ようやく効いてきたみたいだな。
よろけたエレナを支えながら俺はほくそ笑んだ。
そして素早くエレナの手を後ろ手にすると、用意した封魔の手枷を付ける。
「はれ?」
エレナは俺を不思議そうに見ている。
ここまでは予定通り。
そして俺とエレナに魔法をかける。
「…はっ。ちょ、ちょっとこれどういうこと!?」
よし、無事に解けたみたいだ。
今掛けた魔法は酔いを醒ます魔法で、酔いを醒ましたのだ。
俺は種明かしを始めた。
「実はこのジュースに酒と同じ効果を与える魔法を掛けてたんだよ」
エレナは酒にあまり強くないらしく、飲みの席でも普段決して酒を飲まないのだ。
ほんとは俺がやられたように寝込んだところに顔に落書きしたかったのだが、こいつ慎重な性格らしく寝るときいつも索敵の魔法を使っていて、女性たちに夜這いに行きたくてもいけないんだとか。
全く奥さんいるくせに何てやつらだ。
まぁ、一夫多妻制らしいからいいのか?
あ、ちなみに俺が使った魔法は、例の家にあった本に書いてあった。
あの骨の人のオリジリナル魔法らしい。
酒が好きだったんだろうなぁ。あそこじゃ、酒なんて手に入らないだろうから。
でも、酒の味がしないようにする魔法はやっぱり俺みたいな使い方をするために開発したのだろうか?
「酒!?くっ、魔法も使えないし!」
「魔法を封じる手枷を用意したからな。さ、覚悟してもらおうか」
俺はにやにや笑いながら近づく。
「な、何する気よ!?」
「何って朝のお返しだよ。よくもやってくれたな?」
「ま、待って待って!ちょっと落ち着こう。ね!? ほら、あれは謝るからさ!悪かったわよ!」
「今頃謝られてもな~。今のような状況にならなかったら、謝った?」
「謝るわけないじゃん」即答だった。
「そうか。じゃあ、お仕置きかな」
「まった!今のなし!ちょっと本音が…!」
「余計性質が悪いわ!覚悟は出来た?」
エレナは言葉を飲み込むと、ちょっと思考を巡らせる表情をすると
「三木……、ひどいよ。私、三木がこんな酷いことする人だとは思わなかった……」
と上目遣いで目をうるうるさせながら見てきた。
何てやつだ。演技だって分かってるのに何て破壊力!
「三木のこと信じてたから、ほいほい部屋まで来たのよ? 普段男がひとりいる部屋なんて行かないんだから…」
部屋まで来たのは、俺が安全パイだと思ったからだとは思うが、やばいなこのままこいつに主導権握らすと。
主に俺の精神衛生上。
「そうか、言いたいことはそれだけか?ではお仕置きタイム始まり~」
「ちょ、や、やめ、、、きゃぁあああぁああぁっ!!!」
「きゃははははは!!!やめ、やめて~、、、ふふっ、あはははは!!!」
今、エレナは俺のくすぐり地獄を体験している真っ最中だ。
「ん、どうだ?反省したか?反省したなら、ワンと言ってみろ」
「わ、わん!反省したから早くやめ、、あは、あははははは!!!」
まぁ、そろそろ反省したみたいだし、開放してあげるかな。
でも、せっかくここまで準備して手間暇かけたのにこのまま開放するのももったいないな~。
こんな機会二度とないだろうし。
「よし、じゃあ開放してやるけど、キス一回ね。ちゃんと口にしろよ?」
ととことん外道な俺。
「は?ばかじゃないの?頭おかしいの?」
こちょこちょこちょ。
「きゃはははは!!!分かった!キスするから!お願いだからやめて!!」
うむ、ちゃんと上下を分からせないとな。
そして、俺はエレナの呼吸が落ち着くのを待って、俺は手枷の鍵を解いてやった。
「うし、はずしたぞ。約束は守れよ~?……エレナ?」
俯いたまま動かないエレナ。
……あ、直感がビリビリ反応し始めた。
冷や汗が止まらない。
何、命の危機なのか!?
色々検証した結果、今の俺は直感は基本意識的に働かせることで作動するらしく無意識に反応するのはどうやら命の危機とか大きなものだけみたいなのだ。
「……約束は今度でいいぞ!!俺はちょっと外の空気が吸いたいから外行ってくる!!!」
ダッシュで逃げる俺。
「……ウィンドバインド」
な、なんだ!?足に枷!?
「よくも…よくも好き勝手やってくれたじゃない。覚悟は出来てるんでしょうね?」
あれ?完全に立場逆転してるんですけど。
「キスとか…、好きなだけ私の靴にさせてあげようじゃない」
―――今なら直接見なくてもエレナの顔が想像できるぜ。。。
俺は背後からエレナが近づいてくる音を聞きながら、そっと息を吐くのであった。
……俺、明日生きてるかなぁ。。。
レベル 7 経験値 462 次のレベルまで 88
力 108.3
防御力 35.6
速さ 93.3
体力 66.4
運の良さ 20.6
賢さ 64.9
言語理解 25.5
直感 134.8
弓技能 9.2
剣技能 16
槍技能 100.4
短剣技能 28.4
魔法 64.3
タグに外道って入れたほうがいいかな? どうしよう。