十二話
セリフ変えました。セリフ変えたら、キャラ全然変わりますね…。
「それじゃ行って来るよ。色々ありがとうな、ヤノプ」
「いえ、私は受けた恩を返しただけですよ。再来週またお待ちしてますね、三木さん」
俺はヤノプと最後に軽く話すと、キースさんたちが待ってる馬車に向かって歩き始めた。
再来週また来るんだから見送りはいらないって言ったのに律儀なやつだ。
俺が馬車に乗るとそれを合図に馬車が動き始め、ヤノプが見えなくなるまで手を振り続けたのだった。
馬車は全部で3台あり、真ん中に荷物とキースさんたちを乗せた馬車、それを挟むように護衛が乗っている馬車といった具合になっている。
ドワーフとの交易品を狙う輩が数多くいるため、このように護衛がたくさんいるのだ。
村には数人だけ入って、残りは入り口付近で野営しているらしい。
そして俺はその一番後ろの馬車で自己紹介をしていた。
「はじめまして。俺は三木智也という。呼び方は三木とでも呼んでくれ。得物は見ての通り槍だ。よろしく頼む」
何かこう注目されたりすると、見栄張って口調が固くなるな…なんてことを考えていると、周りも次々に自己紹介を始めた。
まとめると、俺と同じ黒髪で大柄な男がケンで得物は斧。
金髪でイケメン優男がタリスで得物が双剣。
金髪でちょっとタレ目がキュートな魔法使いのエレナ。
赤髪でポニーテールどことなく取っ付き難そうなクールビューティー剣士のリン。
長いストレートの緑髪で豊かな母性を感じさせるものをお持ちな弓使いのサラ。
こんな感じかな?
え、男の説明が何か荒くないかって?
そりゃ、みんなだって男の詳しい説明なんか聞きたくないだろ?
つまりそういうことだ。
しかし、女の子が3人もいるなんてラッキーだった。
一番前の馬車には男しか詰め込まれてないらしいし。
どっちかって聞かれて直感で答えたのが良かったな。
最近は命の危機以外でも直感が働くようになって良いことが続いてる気がするぜ。
出身とか聞かれたら、記憶喪失で彷徨っててドワーフに保護してもらったとか言って適当に誤魔化しながら雑談をしていると、楽しそうに笑っていたエレナが何かに気付いたかのようにサッと顔色を変えた。
「敵よ!前方から30ほど敵対戦力接近中!すぐ鐘を鳴らして!」
エレナが言葉を発し終わる前に御者が鐘を鳴らし、俺たちは武装をして外に飛び出した。
外に出ると、遠くからでっかいアリの群れが砂埃をあげてこちらに向かってくるのが見えた。
周りは荒野なので、視界は良好だ。
キラーアントか…。
しかし、エレナの索敵の魔法は便利だな。
今度教えてもらおう。
「馬車に近づく前に片付けるぞ! 各馬車一人残して全員続け!」
ケンが指示する。
どうやら全体の指揮官っぽい立ち位置らしい。
ごめん、自己紹介適当に聞いてて。
みんなに続いて俺も走っていく。
…みんなチームワークみたいなのあるだろうし、俺はフォローに回るか。
一人だったら十秒かからないで片付けられると思うけど、点数を売っておこう。
そして、俺は一人に付き一匹で相手出来るように、アリを誘導しつつ一匹づつ数を減らしていった。
「三木、お前なかなかいい腕してるな! 正直、お前の槍の動き見えなかったぞ。周りの動きもよく見てるし、無駄のない戦いだった」
とケンは俺の背中をバンバン叩きながら言った。
「最初は頼りなさそうな人だなって思ってたんですけど、人は見かけによらないんですね」
と笑顔でサラリと腹黒を匂わせる発言をするエレナ。
そうか、笑顔で喋っていた時も、そんなことを思っていたんだね?
「まあまあなんじゃないん?」とタリス。
「期待以上だった。今度ぜひ手合わせしてくれ」
と、目を戦闘の興奮が収まっていないのか、ギラギラさせているリン。
…おぅ、この人目が怖い。
戦うのが趣味なのだろうか?
サラさんは、その様子を見て可笑しそうに笑っている。
笑ってるだけなのに女の子の中で一番まともに見えてくるのは何でだろう。
戦闘前よりも賑やかになった馬車の中で俺は、やっぱり人との関わりっていいなぁとちょっと前までの自分を思い出しながら会話に興じていった。
レベル 6 経験値 440 次のレベルまで 10
力 97.1
防御力 28
速さ 83.2
体力 59.4
運の良さ 18.4
賢さ 58.6
言語理解 22.6
直感 112.5
弓技能 8.4
剣技能 14.6
槍技能 90.5
短剣技能 25.8
魔法 56.3
肉体操作 28
振り分け可能ポイント 14
装備 槍