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勇者召喚からハブられた俺は、女神様の脱ぎたて神装(パンツ)で異世界を生き抜く ~明日を笑顔でいるために~  作者: 藤塚 まあき
第二章 ママに私が生まれた日の空の色を聞いたら、「おじいちゃんの頭と同じだよ」と言われた
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Sub Episode: 笑える範疇は通り過ぎた

■□■



「今夜は大変やったなぁ、G08(ゴエイ)さん」

「また明日、仕切り直しでごわす」


 月明かりに照らされた城郭都市の屋根上を、リュパンツ・ザ・サートルとG08(ゴエイ)さんが、音もなく走り抜ける。


 和装を風になびかせる彼等は、まるで軽業師のように、屋根から屋根へと軽快に飛び移っていた。


 クリスティア・シャイン嬢に憑りついていた上級悪魔を倒した後、気絶していた冒険者たちが意識を取り戻し始めた為、連戦で消耗したリュパンツたちは、日を改めるべく、今夜は獲物を諦めて撤退していた。


 パンツを目の前にして逃げるのは下着泥棒の名折れかもしれないが、死んだパンツを惰性で手にするよりも、活きの良いパンツを荒ぶる闘志で手に入れてこそ、真の値打ちがあるというもの。


 惜しむらくは、この美学を理解できる人間が、原作者を含めて存在しない事であろう。


 死んだパンツとはいったい。活きの良いパンツとは。

 仮にリュパンツに問うたとしても、永劫に理解できぬ世界であるのは間違いない。


「……しっかし、あのデュラハンのお姉さんは相当の使い手やな。真っ向からは勝てる気がせえへんで。G08(ゴエイ)さんはよく“スタン”で封じ込めれたなぁ」

「どうも抵抗力が下がっていたようでごわす」

「ほーん? ……ま、あのデュラハンのお姉さんも要警戒やけど、ワイからしてみれば一番厄介なんは、飄々としとるクセになにを企んどるか分からん、あのおっちゃん――」


 ――そこまで言いかけた瞬間。


 リュパンツはG08(ゴエイ)さんと共に進行方向を変え、右隣の屋根へと即座に着地する。

 ……一拍遅れて、彼等が移動していた屋根の進路には、投擲されたナイフ群が小気味よく突き刺さった。


「――やあ、逃げるつもりかな。それはちょっと、面白くないんだよねぇ」


 ――ゆらり、と。


 まるで物陰から這い出ずる様に。

 軽装の中年冒険者が、月明かりに照らされて姿を現す。

 

 リュパンツは疲労を隠しながらもお札を構え、G08(ゴエイ)さんと共に、向こう側の屋根上に立つ男を静かに見据えた。


「……なんでやねん。腰を痛めて今日は戦えないんや無かったんか」

「余力を残し、消耗して撤退する(おい)たちを闇討ちする算段でごわすか?」


 その問いかけには何も答えず。

 男は手にした“魔銃”を静かに構え――、


「さあ、今から手品を始めます。楽しい事を6つ数えると……あら不思議」


 銃口の先に6つの模様を備えた魔法陣が出現し。

 まずは一つ目のカウントを刻んだ――。




■□■



《――はぁ。くだらない。実にくだらない、低俗な茶番劇でした。


 聞こえておりますか?


 そう、私です。魔王軍・混沌派。死神執行部隊に所属する、“四呪奏”がひとり。

 超越級悪魔、“灰塵(かいじん)”のファントムです。


 御存じの通り、相変わらず姿を変えて、スコーリオ地方に潜伏しております。


 現・死神執行部隊の長たる〖吸血鬼公爵(ヴァンパイアデューク)〗様におかれましては……ああ、すみません。前置きはこのくらいにして、作戦の経過報告を。


 “四呪奏”の空席を埋めるため、“始まりの街スタール”の廃墟に潜伏しておられました前・死神執行部隊・指揮隊長。

 〖不死の統率者(アンデッドルーラー)〗“切り裂き”のジャック殿への勧誘については、不可能となった事をここに御報告します。


 理由……ですか。


 いえ、ね。

 私もにわかには信じ難いのですが、どうやら何者かに葬られたようですよ?


 いやはや、自分よりも格上のお方が倒された報を聞いて、何とも身がすくむ気持ちです。ふふふ。


 もっとも、ジャック殿が健在であったとしても、気まぐれなあの方が素直に応じる事はなかったと思われますが。


 ……ああ。お怒りをお鎮めください?


 無論、代わりの成果は準備しておりますとも。


 ちなみに成果――と言ってよいかは分かりかねますが、最近、悪魔憑きを退治して回る極東の退魔師……リュパンツ……なんでしたっけ?


 とにかく奴が目障りだと配下の悪魔たちが騒いでおりましたので、その男を葬る為、スコーリオ地方領主の娘、クリスティア・シャインを利用して上級悪魔並びにその眷属を抹殺に向かわせました。


 これが思った以上に手強く、抹殺は失敗に終わりましたが、奴は当分、動くことはできないでしょう。

 不出来な配下を選んでしまったのは私の落ち度。折を見て、配下の再選定と、私自らの手で、リュパンツの暗殺を予定しております。


 一つだけ懸念材料があるとすれば、リュパンツと共闘していた魔物使いの少年の従える、デュラハンの――おや、お聞きになられないのですか。

 まあいいでしょう。


 ついでにリュパンツや魔物使いに何やら吹き込んでいた、占い師の女を捕らえましたが――これは思ったよりも大物かもしれません。


 ……まだ確定していない事を伝えるな、ですか?

 それよりも準備してある代わりの成果についての説明をお求めなのですね。


 かしこまりました。


 ――と言いましても、そう複雑な話ではありません。


 以前より目をつけていたエーテル教のシスターが、“呪いの血族”であるという確証が得られましたので、彼女を手中に収めた後、一時帰還致します。


 くだらない低俗な茶番劇はこれにて終幕。

 これよりは我々があなた様好みの悲劇の演目をご用意します。


 それではどうか、席についてお楽しみに――》

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