表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一途すぎる公爵様は眠り姫を溺愛している  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/20

20 そして……


 取り調べが終わるとゼインはすぐに出発すると言う。


「もっとゆっくりお礼を申し上げたいのに……」

「ありがとうございます。でも私を必要としている人がいるようなのでね、帰ります」

「もう次の依頼が?」


 レオンも残念そうだ。アステリアでは仲良くしていたのだから、もっと話をしたかっただろう。


「またゆっくり遊びに来ます。そうそう、リュシエンヌ嬢、レオンはあなたをずっと想い続けていましてね。あなたのことをそれはもう、たくさん聞かされました。だからあなたとは初めて会った気がしないくらいです」

「え……そうなのですか?」


 照れ臭さに頬を染めるリュシエンヌ。レオンも恥ずかしそうだ。


「レオン、想いが叶って良かった。本当におめでとう」

「ありがとう、ゼイン。君にはいくら感謝しても足りないよ。君の話をたくさん聞いていたから、リュシエンヌが眠り続けていたと知った時、魔法に掛けられているかもと思えたんだ」


 リュシエンヌはひとつ不思議に思っていたことをゼインに質問した。


「ゼイン様、私が突然目覚めたのは何か理由があるのですか? それとも、レオンが来た時に目覚めたのは単なる偶然でしょうか」


 ゼインはクスッと笑う。


「実は、私はレオンのことがかなり気に入ってましてね。小さな頃から見ているせいかな。それで、彼が突然帰ることになった時……こっそり魔法を掛けておいたのです」

「え? 本当か、ゼイン?」

「はい。軽い魔法から身を守る結界のようなものです。おそらく、レオンがリュシエンヌ嬢の手にキスをした時に、その効果で眠りの魔法が解けたのでしょう」

「えっ……! そんなことまでわかるのか、ゼイン⁉︎」


 レオンは真っ赤になっていた。リュシエンヌが眠っている間にこっそりしたキスを暴露されたから。


「ごめん、リュシエンヌ……でも、手だけだから……! 本当のキスはさっきのが初めてだから!」


 焦るレオンが可愛くて、リュシエンヌはくすくすと笑った。


「ありがとう、レオン。あなたがキスしてくれたおかげで私は目覚めることができたのね。あの時目覚めなかったら、私はどうなっていたかわからないわ。それに、恋人のキスで目覚めるなんて絵本の王女様みたいで素敵」

「リュシー……」


 二人はお互いを見つめ合い、ゼインはそれを嬉しそうに眺めていた。


「さあ、ではそろそろ出発しますか。どうやらお邪魔のようですし」

「ち、違いますわ、ゼイン様!」

「ゼイン、邪魔なんかであるものか! もっといて欲しい!」


 焦る二人の手を取ってゼインは微笑んだ。


「どうか、そのままの二人でいて欲しい。お互いを信頼し合うことが魔を寄せ付けない一番の予防策だからね」


 そしてふわりと巻き起こった風と共にその姿は消えた。


「もう行ってしまったのね……」

「ああ。彼を待つ人の所へ……」




 その後、この事件の詳細が発表され、魔法の恐ろしさが貴族社会に広がった。やがては庶民へも噂が流れていくだろう。

 アラベルの実家は爵位を取り上げられ田舎へ移った。マルセルは同情もされたがアラベルの暴走を招いたことで肩身の狭い思いをし、爵位はそのままだが彼もまた田舎の領地に引っ込むことになった。


 レオンはリュシエンヌとの婚約披露パーティーをもう一度盛大に催した。そして半年後にこれまた盛大な結婚式を挙げ、最愛の女性を妻にした喜びを爆発させていた。


「リュシー。僕は必ず君を幸せにするよ。一緒に歳を重ねて、二人で歩いていこう」

「ええ、レオン。ずっと一緒に……」


 柔らかい微笑みをレオンに向けるリュシエンヌ。真っ白なウエディングドレスがよく似合う。


(12年前、俺が恋焦がれたリュシエンヌが今腕の中にいる。こんな幸せなことがあるだろうか? 本当はいけないことだが、アラベルに感謝している俺がいる……)


「どうしたの? レオン。ぼんやりして」

「違うよ、リュシー。あまりに幸せで泣きそうになっていたのさ」


 レオンはリュシエンヌの頬にキスをして、サッと抱き上げた。


「きゃっ、レオンったら……」


 リュシエンヌは驚いて、でも嬉しそうにレオンの首に腕を回す。


「さあ、皆のところへ行こうか」


 拍手とフラワーシャワーが夢のように舞う中を、二人は歩いて行く。永遠の愛を誓って――

 




 〜〜〜〜〜


 牢獄の独房。どうせ目が見えないからと日の当たらない真っ暗な部屋に入れられたアラベルは、ベッドに上がることもできないためずっと冷たい床の上で過ごしていた。

 やがて時間の感覚が無くなり……彼女の意識は幼い頃に戻っていった。

 

 どこかから明るい笑い声が聞こえてくる。


「アラベル! 早く次の授業に行きましょう!」

「もう、待ってよリュシー! 歩くのが速いわよ!」


 笑いながら学園の廊下を走って行く少女たち。アラベルの前を行くリュシエンヌは柔らかい金髪を揺らして……


(綺麗だった、な……)


 アラベルの目から涙がひと筋流れた。最後の顔は柔らかく微笑んでいた、と発見した獄吏は報告した。


 (終)

 

 

お読みいただきありがとうございました!

ゼインシリーズは他2作ありますので

良かったらぜひ!!


『残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました』

『結婚式前日に友人と入れ替わってしまった……!』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ