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創建3500万年  指導員3の話

巫女姉さん「指導員1さんと指導員2さんの活躍聞きましたか?噂によれば、指導員1さんは、空に浮かんで講話をしたそうですよ。その講話もなかなか素晴らしいと評判のようですね。」

指導員3「なに! 空に浮かんで講話する? それは、宇宙の法則、大自然の法則に違反している。なにか、トリックがあるに違いない。」

巫女姉さん「人が空に浮かぶのは、そんなに、不可能なことなんですか?」

指導員3「あたりまえでしょう。巫女ねえさんも、学校で勉強したでしょ。物理の法則は絶対なんですよ。それは誰も覆すことはできません。神さまだってできないことです。」

巫女姉さん「それじゃ。どんな様子か、見に行ったらどうですか?」

指導員3「こっそりとか。」

巫女姉さん「まあね。」


教祖の話があるという日に、指導員3は、ニューリーマンワールド神社の鳥居の傍で、教祖の話を聞くことにした。教祖は、確かに、指導員1であった。


教祖の講話がはじまるというアナウンスがあって、教祖が登場すると、自然に、静かに、空中にふわりと浮かび上がった。しかも、空中に止まったり、移動したり、自由自在であった。なにか、トリックがあるようにもみえなかった。

驚くことに、教祖の話は、素晴らしかった。指導員3さえ、その話に、感銘を受けた。なにか、矛盾するような事柄は、まったくみあたらなかった。なにか、どこかに、矛盾やあいまいさによる、突っ込みができそうなところがあるものだが、それが、どこにもない。

あいつは、この間まで、ラーマン神社で、下っ端、ペイペイの指導員だったのに、なぜ、急に、こんな大規模な宗派をつくりあげ、壮大な神社をつくり、どうどうたる講和ができるのか。


解せない、納得がいかない。どうなっているんだ。あいつと俺と時間の流れ方が違うのか?


調査員は、その後、ラーマン神社のボランティアに時々来ているという。なにか、大きな変化はないらしい。宇宙と一体化したという大悟したという経験は、彼に、なにか、変化や衝撃は与えなかったのだろうか。前と同じような生活では、大悟ではない。ただの錯覚、もしくは、催眠術にかかってしまったようなものなかのか?


ラーマン神社の食堂


指導員3「ニューリーマンワールド神社に行ってきました。とても、立派な神社でしたよ。」

巫女姉さん「それで、どうでした。?」

指導員3「浮かんでいました、とても、自然に。講和もとても、素晴らしいものでした。非の打ちどころがないほど、完璧な講和でした。」

巫女姉さん「指導員1さんは、りっぱになられたのですね。それに引き換え、指導員3さんは、この体たらくですね。」

指導員3「この体たらくとは、なんですか?言うことに事欠いて、体たらくとは、侮辱です。侮辱すぎます。」

巫女姉さん「あれまあ。指導員3の悟りは遠いですね。体たらくなんて言葉で、怒っているようじゃ、なにを修業されてきたんですか?人間の偉大な尊厳はどこにあるんですか?大宇宙の大神の心を理解する何で、今生はむりのようですね。ニューリーマンワールド神社に修業に行きなさい。」

指導員3「あのねえ。あいつは、指導員1で、初級者担当の指導員だったのですよ。私は、上級指導員なのですよ。どうして、私が、初級者担当のあいつの下で、修業しなければならないんですか?」

巫女姉さん「だって、あなたは、さっき、指導員1さんの講和は素晴らしいと言っていたではないですか。」

指導員3「いいましたけど。だけど、修業には行けません。」

巫女姉さん「まだまだ、悟りには遠いようですね。それじゃ、ラーマン神社で、修業しなさい。」


ラーマン神社の中庭にて。


指導員3「おや、あなたは、この間の研修生さん。お元気ですか?」

調査員「元気です。今日は、ラーマン神社のボランティアに来ています。今日は、ラーマン神社の沿道に、春の花を植えるんです。」

指導員3「それは、ご苦労様です。ラーマン神社の沿道が、とても華やかになりますね。研修の後、なにか、変化はありましたか?」

調査員「変化ですか。そうですねえ。以前は、なんとしても、古代の遺跡を発見して、名をあげたいと思っていたんですが、最近は、さほど、そのような思いが、薄くなってきたようです。ですので、時間があるときは、こうして、ボランティアに来ています。」




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