創建 4000万年 超古代文明のかすかな匂い
ナレーション
電気の無い文明は、とても考えにくいのですが、人類の数万年の歴史の中でも、電気文明は100年ほどのほんのわずかな期間の文明です。
古代ローマにも、古代ギリシャにも、古代エジプトにも、電気文明はありませんでした。
日本の歴史でいえば、石器時代、縄文時代、弥生時代、古墳時代、、、明治時代に至るまで、電気は、人類と無縁の現象でした。
人類にとって、電気のないことは、不便なことなのでしょうか。
電気文明は、発電という行為がなければ、途絶えてしまいます。全発電所が、数日、途絶えるだけで、電気文明は、失われてしまうはずです。
そのような危うい文明に、人類の文明は、よりかかりながら、生きています。
電気の失われた世界で、スマホの神さまは、どのように,生き残っているのでしょうか。
それは、書いてみなければ分からない。
ラーマン神社の発祥は、たしかに、スマホの神さまから始まったのかもしれない。しかし、ラーマン神社は、スマホの神さまがいなくたっていいじゃないか。別の神さまがいてもいいはずだあ。
問題は、ラーマン神社が、どこにもない。どこを探せばいいのかさえ、分からないのだ。
さて、本題に、戻そう。しかし、どうやって。
へんてこりん「さあ、でかけるぞ。リュックとシャベルは、もったかあ。」
ジョー「もったさあ。でも、お弁当がまだなんだあ。少し待ってください。」
へんてこりん「おべんとうか?どうして、そんなものがいるんだ。」
ジョー「おなかはへるでしょ。どうして、あんたは、おなかは、へらないんですか?」
へんてこりん「わしには、おなかなんて、ありませんからね。準備ができたら、でかけるぞ。」
二人は、大きな野原に出た。空は青く、風は、そよいでいた。
動くものは、風にそよぐ草ぐらいで、ほかは、なにもない。
なにもない。人の住んでいる気配がなにもなかった。
大きな木の下で、野宿をすることにし、その辺から、木の枝を拾ってきて、焚火の準備をした。
おしゃべりのへんてこりんも、今日は、神妙に黙っている。理由はわからないが、ジョーも話しかけることもしない。へんてこりんにしても、探し物は、この辺にないだけなのかもしれない。
日が暮れると、空には、星が輝きだした。へんてこりんがしゃべらないことが、心地よかった。静けさが、心地よかった。
こんな静かな夜は、久しぶりな気がする。
太陽が、地平線から昇り始め、日差しが当たり始めると、へんてこりんは、かすかに息を吹き返した。バッテリーでも、切れていたのかもしれないと思った。しばらく、充電されるまで、様子をみるしかない。
へんてこりん「ふー。」
ジョー「息を吹き返しましたね。大丈夫?」
へんてこりん「まあな。少し、疲れてしまったんだな。」
ジョー「はしゃぎすぎたんですよ。」
へんてこりん「そうだな、はしゃぎすぎたかもしれんな。」
ジョー「ここには、なにが、あるんです?」
へんてこりん「数百万年前に、超古代文明があったのさ。その痕跡を感じるのだ。」
ジョー「僕も感じますよ。この地上のほとんどの場所には、人類が住んでいて、村を作り、畑を作り、牛や馬を飼っていました。だから、どんな場所も、掘ってみれば、なにか、出てくるものさ。」
へんてこりん「ここは、特別な場所だ。」
ジョー「どのように。」
へんてこりん「ここにはなあ。」
ジョー「ここには?」
へんてこりん「昔、ここに偉大な文明があった。」
ジョー「ただの野原ですけど。」
へんてこりん「今はな。でも、昔は、ここに偉大な文明があった。ここは、ラーマン神社があったのだ。」
ジョー「それは、いつのことなんですか?」
へんてこりん「昔のことだ、とても、昔のことだ。」
へんてこりん「わしは、ここに留まる。」
ジョー「どういうことです。ぼくは、どうしたら、いいんです。」
へんてこりん「わしは、探していた場所をみつけたのだ。ここ以外のどこへ行っても、わしが生き残るすべはない。ここでわしは、次の時代まで、数百万年の眠りにつく。」
ジョー「そんな長い眠りじゃ、あなたは、錆びて、腐って、土になってしまいます。それでいいのですか?目覚めのない眠りですよ。」
へんてこりん「たしかに、そうだな。ならば、わしのために神殿を立てよ。」
ジョー「神殿ですか?無理です、無理です。小さな祠だってできないと思います。ここは、土ばかりで、石も、岩もありません。ただの草原です。」
へんてこりん「そうだなあ。なにもない。確かに何もない。神殿どころか、小さな祠もできないなあ。」
ジョー「どうするんです。」
へんてこりん「そうだな。なにか、考える必要があるなあ。まず、その辺を歩いて、小石でも拾おうかな。」
ジョー「拾うのは、僕ですよねえ。」
へんてこりん「そうだ。よくわかったなあ。えらいぞ。」
ジョー「えらいといわれてもなあ。」
数日すると、50cmほどの小石の山が。一ヵ月もすると、人間の背丈ほどの小石の山ができました。
へんてこりん「おれは、ここで、時をまつ。」
ジョー「いつまで?」
へんてこりん「数千年か、数億年か、数十億年かな。」
ジョー「それじゃ、僕は死んでいますね。」
へんてこりん「そうだな。しかし、わしはまつ。」
ジョー「あなたは死なないのですか?」
へんてこりん「そうだな。死ぬかもしれん。もともと、わしの命など、数年程度だ。お前が、拾ってくれたので、生長られだけじゃ。感謝しておるぞ。しかし、ここで、数年、数十年の時をまっても、なにも起こりそうもない。それなら、命のある内に、眠りについたほうが、いい。」
ジョー「なにかを待っているのですですか?誰かが眠りを、起こしてくれる人がいるのですか?」
へんてこりん「さあな。未来のことだ。なにもわからん。賭けだな。」
ジョー「どうして、ここなんですか?」
へんてこりん「ここには、超古代文明のにおいがする。この下には、超古代文明が埋まっている。」
ジョー「どうして、そんなことがわかるんです?」
へんてこりん「磁場と重力の乱れがある。なにか、不思議な熱源がある。自然の地熱かもしれないが、古代文明が生み出している熱源かもしれない。だから、ここがいい。眠るには、ここがいい。」
ジョー「でも、こんな石を積んだからといっても、雨風もしのげませんよ。それに、野良犬が、おしっこをするに決まっている。」
へんてこりん「野良犬のおしっこは、かなわんなあ。なにか、わしが眠れる箱を作れ。」
ジョー「どうやって、木箱では、すぐ、腐ってしまいますし、石で、箱をつくれません。金属でもできませんよ。」
へんてこりん「そうだな。なにか、よいものはないかな。」
ジョー「ありません。一度、村に帰って、なにか、よいものを探しませんか?」
へんてこりん「村か、あの村には、なにもないぞ。」
ジョー「まあね。でも、数千年、数億年の眠りにつこうというのですから、そのくらいは、準備してもいいんんじゃないですか。急ぐ必要はありませんよね。」