創建 4000万年 小さな漁村
ジョーとへんてこりんは、小さな漁村にいた。
その漁村には、80人ほどの人間が住んでおり、魚をとったりして、暮らしている。別に、都会に、なにか売っているわけでもないので、金など必要もなかった。
村長に尋ねると、山側にある神社の神主がいないので、神社の世話をするなら、住んでもいいという。そこで、ジョーとへんてこりんは、この神社を住居に定めることとした。
この神社の春祭りがあるので、準備しろと言われたが、なにをしていいのか、わからないままに、当日を迎えると、村人たちが、勝手に飾り付けをして、勝手に、踊りを踊っていた。
ジョーは、神主のまねごとをして、ごまかしておいた。
へんてこりんは、ラジオのように、のべつまくなし、何かをしゃべっていた。
それは、言葉をしゃべっているというより、意味のない言葉の羅列のようでもあり、外国語のようでもあった。話しかければ、それなりに答えていたのだが、それ以外は、意味の無い音を絶えず、発しているという感じでもあった。
ジョーが、神社の周りを、箒ではいていると、村人がやってきて、海でとれたもの、畑でとれと物を持ってきてくれたので、食べることには、困らなかった。神社の畑でも、見よう見まねで、野菜などを育てていた。
大都会は、ほぼ、廃墟となり、政府と文明は、無くなってしまった。発電所が崩壊してしまうと、この国の電気文明は、突然に停止した。自動車も飛行機も、水道も、ガスも、通信も,金融も、止まった。
全てが、止まった。
止まった。
わずかに、風力、太陽光なども、かすかに動いていたが、なんの役にも立たない。
全てが止まった。
それは、この星全体に、および、この星の全ての文明が、止まった。
この小さな漁村は、昔ながらの生活をしているので、電気の供給が止まったからといって、あまり、影響もないようだった。
夜になると、以前のように、電灯がつくことはなかったが、それは、それで、仕方がないことだ。
だからといって、魚がとれなくなるわけでもなく、野菜がとれなくなるということもなかった。
10年もすると、大都会に草が生え、低木が、生えていた。
ヘンテコリンは、ジョーに、自分を連れて、毎日1キロ以上歩けという。理由はいわなかったが、どうも、散歩する必要があったようだ。
ジョーは、毎日、毎日、漁村の中を歩き、山の中を歩き、あらゆるところを歩き回った。
10年目のある日、そのヘンテコリンは、奇妙なことを言い出した。