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創建3500万年  指導員3の話 その3

調査員「コップの水を綺麗にする方法がわかりましたか?」

指導員3「まあ、大きなゴミだけ掬い上げた感じですけど。」

調査員「どんどんコップの水を綺麗にすると、宇宙大にも拡大出来ますよ。」

指導員3「では、研修の時も、やはり、宇宙の果てまで行ってきたのですか?」

調査員「あの時は、ビギナーズラックです。私の守護天使が、けっこう、その方面で得意なようで、いたずら半分で、私を驚かせようとして、連れ出したようです。」

指導員3「お前には、いや、あなたには、守護天使がいらっしゃるのですか?」

調査員「いますよ。何人も。」

指導員3「え!一人ではなく、何人もですか?」

調査員「そうですね。複数の魂が、チームになって、順番に守護天使をやるようですよ。私も死んだら、彼の守護天使になるんだ。」

指導員3「あなたも、守護天使になるんですか?」

調査員「まあ、無事に天国に戻れたらね。」

指導員3「天国に戻るのは、たいへんなんですか?」

調査員「地上に生まれるというのは、地上の泥水を飲むのと同じなんです。泥水の中を泳ぐようなものです。死ぬ前に、それらの泥水、泥を、綺麗に落とさないと、天国には行けないんです。」

指導員3「どうして、この地上が泥水、泥沼なんです?」

調査員「この世界は、怒り、妬み、僻み、愚痴、疑念、嫉妬、欲望が渦巻いていますよね。」

指導員3「まあ、そうですけど。」

調査員「すると、みんな、これらの泥水を飲まずに生きてゆける人間はいないんです。そして、泥水に汚されていないコップの水など、この世に存在しないのです。でも、そのコップの水をきれいするのは、コップの水の持ち主以外、誰も、きれいにすることはできないんです。」

指導員3「確かに。」

調査員「それが、出来たもののみが、宇宙に、地中に、海中に、旅ができるようになるのです。それは、観自在菩薩というそうです。どこでも、いつの時代にも、出現するらしいですよ。」

指導員3「そうですよね。確かに。」

調査員「さて、今日はどうします。ご飯食べにいきましょう。ラーメンが旨い店がありますよ。」

指導員3「そうですね。食べにいきましょう。」


すると、二人は、ふわりと空中に浮かび、麓のラーメン屋まで、飛んでいった。

なんと、横着な人生になってしまったのか。それじゃ、コップの水もすぐ,汚れるぞ。


なんと、そこには、研修員1と研修員2も、ラーメンを食べていた。

今では、教祖様と事務局長だが。お金もたくさんあるんだから、こんなところで、食事などしなくてもよいだろうに。


教祖様が、最初に気が付いて、手招きをした。


教祖「お久しぶり。お元気そうで。」

指導員3「やあ。こんなところで、ラーメンですか?もっと、豪華な食事をなさっているのかと思っていますか。」

教祖「ここのラーメンは、悟りに満ちているんです。心がひらめくんです。食べたあと、何かを感じるんです。」

指導員3「あらあら、なにか、お悩みでもあるのかな。」

教祖「実は、ニューリーマンワールド神社を拡大したいと思いまして、新しい講師を探しているんです。そうしたら、この店にいけば、良い出会いがありそうだという、予感がしたんです。そして、その通りになりました。どう思います。この運命的、宿命的な出会いを、偶然とはおもいませんよね。」

指導員3「もしかして、私を、ニューリーマンワールド神社の講師に迎えたいというのですか?」

教祖「なんという察しのよさだ。調査員さんも、どうですか。破格の給料をお出しします。どんな待遇も思うが儘です。支部長、副教祖、なんでも可能ですよ。」

指導員3「どうして、外から、講師を探しているんです。教団の中に、優秀な人材もいるでしょう。なによりも修業によって、素晴らしい人材がどんどん育っているんじゃないのですか?」

教祖「人を教え、育てるのは、なかなか難しい。教団に入ってくるのは、それぞれの思いがある。人には欲がある。不満もある。ちょっとしたことで、すぐ、拗ねる。なかなか、よい原石には出会えないものだ。これは、と、思って、育てていると、独立して、新しい宗教を作ってしまうんだ。現在、たくさんの宗教が乱立して状態で、100近くの弟子たちが、独立して、立ち上げたものだ。このままでは、なにが正しくて、なにが間違っているのか、わからなくなっている。わしの教えをパクッているのだがら、みんな似たようなことを言っている。わしは、自分の心に問うた。この問題にどのように対応すればいいのか。すると、今日、このラーメン屋に行けば、素晴らしい出会いがあるというインスピレーションを得たのだ。」

指導員3「そうですか?私たちをお待ちになっていたのですね。」

教祖「そうだ。この出会いをまっていたのだ。そして、それは、運命、宿命なのだ。あなたたちは、ニューリーマンワールド神社に来るべき運命、宿命が、ここにある。」


調査員「はやく、こちらに来て、ラーメンを食べましょうよ。お話は、ラーメンを食べた後にしたらいかがでしょうか。」

指導員3「そうだった。ラーメンを食べにきたのだった。では、話の続きは、ラーメンを食べたあとにしましょう。」

調査員「ニューリーマンワールド神社は、大繁栄していますね。私たちを講師として迎えたいとか。どうなんでしょうねえ。」

指導員3「なにか、不満でも、あるんですか?」

調査員「あなたは、ニューリーマンワールド神社の講師になりたいのですか。それは、あの教祖のもとで、働くということなんですよ。それで、いいのですか? あの教祖は、人間的に尊敬できるのですか?」

指導員3「人間的は、どうかな、でも、ビジネスセンスは、われらの数倍、数十倍もありそうだな。とにかく、大金持ちにはなれそうだな。」

調査員「その大金は、どこからくるのですか?信者の献金ですか。あの大神殿をつくるのに、かれらは、どれだけのことをしたのですか?宗教は、ビジネスであってはなりません。宗教は、金儲けのためであってはなりません。宗教は、泥だらけ、ゴミだらけの人生を、きれいにして、海に帰るようなものです。」

指導員3「海に帰るようなものか。」


調査員「神とは、海のようなものです。海は、太陽の光に温められて、空に舞い上がります。この時、純粋の水として、純粋のH2Oです。そして、それが、雲になり、雨になり、地上に降り注ぎます。それば、地上に生まれる瞬間です。そして、地上に降れば、泥に汚れ、濁り、淀み、池に、川に、流れていきます。

きれいなまま流れることもできますが、汚れて流れることもあります。大きな流れ、小さな流れ、いろいろな流れになって、そして、最後には、大きな川に流れ込み、きれいな水になって、また、海に戻るのです。重力の力によって、母なる、神なる、父なる海に戻るのです。」

指導員3「そうですね。」

調査員「海から生まれ、海に帰る。何も持たずに生まれ、何も持たずに帰るのです。この地上の繁栄は、見かけなのです。この地上で、社会的成功や社会的成功は、関係ないのです。何も持たず海に帰るのですから。」


ラーメンを食べ終わると、調査員と指導員3は、消えていた。


教祖と事務局長が、あたりを見回したが、もう、見つからなかった。


教祖は、今日は仕方がない、次の機会を待とうとつぶやいた。















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