創建3500万年 古墳調査員がやってきた。
ナレーション
朝日が、神社の尖塔を照らし始めた。
大きな鳥居の前に1台の自動車が止まった。こんな朝早く、鳥居にたどり着いたということは、夜通し走ってきのだろうか?なにをそんなに急ぐことがあるだろうか?
鳥居の前で、自動車は動かなかった。どうも、神社が活動を始めるまで、仮眠をとっているようだった。
しかし、神社の中では、神主が朝のお勤めを既に開始していたし、巫女たちの朝の準備に忙しくしていた。
日も高くなってくると、参拝者がすこしづつやってくるころになると、ようやく車から人が降りてきた。
その男は、神社の社務所にいくと、責任者に合わせてほしいといった。
そこで、主任巫女が対応することになった。
男「こんにちは、はじめまして。」
主任巫女「こんにちは、なにか、御用ですか?」
男「あの裏山を調査したいんですが?」
主任巫女「裏山ですか?どんな調査ですか?裏山になにがあるっていうんですか?」
男「あれは、人工的に作られた山、古代の古墳だと思うんです。ぜひ、調査させてください。」
主任巫女「あれは、たんなる山です。なにもないと思いますよ。」
男「この衛星写真をごらんください。このまん丸な形。そして、四方にあるこの小さな突起。これは、人工的な構造物に違いありません。ぜひ、私に調査させてください。」
主任巫女「あら、こんな風にみえるんですか?たしかに、人工のものかもしれません。でも、古墳ではないと思いますよ。」
男「なぜ、古墳じゃないと思うんですか?」
主任巫女「ラーマン神社には、こんな言い伝えが残っているんです。『私は、お墓の中になんていません。風になって、天に帰るんです。』子どもでも、知っている童歌ですよ。」
男「じゃあ、この山の中に、何があるのでしょう?」
主任巫女「たぶん、土、石、岩、それしか無いと思います。」
男「それが、そうなのか、事前に調べたいのです。もし、文化庁主催の大学術調査団を組織して、ここにやってきて、なにもありませんだったら、私の調査員生命は終わってします。田舎の小さな博物館の切符売りにさせられてします。そうならないためにも、事前調査を調査をしなければなりません。」
主任巫女「なんだか、怪しい雰囲気になってきましたね。学者バカさんかとおもったら、感情に訴えるところなんて、相当のくせ者です。なにか、隠しているでしょう。白状しなさい。」
男「お見それしました。おばさん。あんたも百戦錬磨のおばさんだな。」
主任巫女「おばさんとは、なんですか。ラーマン神社の巫女たる私に、おばさんとは、なんですか?帰れ、帰れ、とっとと失せやがれ。」
男「ははーん。おばさんと本当の言われて、本性をだしましたね。あんたこそ、ラーマン神社で、何を探っているんです?」
主任巫女「別に、なにも探ってなどいませんよ。ラーマン神社の巫女の代表として、きちんと、勤めていますよ。」
男「よかった、では、調査のご許可を。」
主任巫女「調査期間は?」
男「そうですね。最低でも、一ヶ月ほどは。」
主任巫女「お宿は?」
男「車の外に、テントを張って野営します。いつも、そうやってきましたので、慣れています。」
主任巫女「でも、この山には、大きな熊と、腹ぺこ山猫がいますよ。見かけは、すこし大きなネコにもみえるんですが、小さな虎、小さなヒョウといういわれるほど、凶暴でだと言われています。とくに、何度も、何度も、男性たちに、追い詰められたことがあるので、男性には、特に、凶暴になるといわれていますよ。」
男「そんな凶暴なんですか?」
主任巫女「野外での炊事は、危険ですね。ラーマン神社に、熊や山猫が降りてくると、こまるので、炊事は、野外ではしないでください。そうだ、この離れを使いなさい。絶対に、ゴミの管理をしてくださいね。」
男「助かります。なにか、企んでいませんか?」
主任巫女「まあ。ラーマン神社には、若い巫女さんがいっぱいいるので、あなたの行動は、監視されていると思っていてください。不埒な心をもつと、とんでもないことがおきるかもしれません。袋だたきになって、追い出されるかもしれませんよ。」