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スプーン戦争の夜明け  作者: 葱鮪命
第二章 長い一日
27/41

スプーン戦争《ルール》

スプーン戦争のルールです。

お話が進む中で、付け足したり消したりしてちょこちょこ変わります。また、読みやすさを考慮して一段下げを行っていません。併せてご了承ください。

《序文》


スプーン戦争は、フォーク戦争を模した模擬戦争である。ルールと互いの信頼の中で戦い、誰も傷つけない平和の祭典にすることを此処に約束する。




《地区分けに関するルール》


「主地区」とは旗台がある地区のことを指し、「副地区」は旗台が無い地区のことを指す。


・トランテュ地区を除く全ての地区は、「主地区」か「副地区」のどちらかに分類される。


・主地区に設置された旗台は、スプーン戦争実行委員会の許可を得ずに、初期位置から故意に移動させてはならない。


・各副地区は、己の主地区に戦力と土地の提供を行わなければならない。


・第四回目のスプーン戦争は、国を以下の六つに分けることとする。


1.エトランゼ地区(主地区)、プーヘント地区(副地区)、ロスラン地区(副地区)


2.ドミラトス地区(主地区)、シュネレア地区(副地区)


3.グラットン地区(主地区)、ホルドン地区(副地区)


4.ユークランカ地区(主地区)、ルツルゴ地区(副地区)


5.ベトラニア地区(主地区)、ラバキア地区(副地区)


6.トランテュ地区(不戦地帯)


・トランテュ地区は不戦地帯である。区内では如何なる戦争行為も認められない。


・各副地区は、その副地区内から一人「族長」を選出しなければならない。族長は、主地区との主要な連絡や、会議の積極的な参加を行い、副地区をまとめる立場である。


・族長は満十三歳以上の副地区民全員の内から選ばれる。


・主地区と副地区は、開戦の一週間前までに最低一回、作戦会議の時間を設けなければならない。主地区班長及び副地区族長は、事前に会議の日時を決めておくことが望ましい。




《参加・不参加に関するルール》


・スプーン戦争は、スプーン戦争参加意思表明書において「参加」の欄に丸を付けた者のみが、参加を認められる。


・「不参加」表明をしている者は、原則「戦死者」の扱いとなる。スプーン戦争実行委員会の許可無しに、「生者」と同じ形で祭典に参加してはならない。


・「不参加」表明をしている者は、開戦前にトランテュ地区に移動して地区内に留まるか、開戦直後から終戦までサザリアの冠を被らなければならない。




《建物保護に関するルール》


建物保護とは、祭典によって建物に傷が付かないようするためのものである。保護作業をする箇所は、事前に各家庭に配布した「保護作業申請用紙」に書かれた場所である。


・保護がされた場所を過度に狙った行為をしてはならない。


・祭典中(休戦期間を除く)、保護によって立ち入れなくなった場所は、不戦地帯の扱いとなる。そのような場所では如何なる戦争行為も認められない。


・祭典中(休戦期間を除く)、保護によって立ち入れなくなった場所には、例え建物の所有者であろうとも、そこへ逃げ込むことや籠城することはできない。




《守備と攻撃に関するルール》


・トランテュ地区を除く五つの各地区は、守備と攻撃のいずれかの役割を持つ。


・サザリアの花弁が閉じた場合、いかなる国民も戦争行為を中止しなければならない(「サザリアの休戦」)。休戦期間中、国の全てが不戦地帯と化す。国内で如何なる戦争行為も認められない。


・守備と攻撃は、休戦期間を挟んだ際に入れ替わらなければならない。


・守備になった地区は、次の休戦期間までに攻撃側から自治区の旗を守り抜かなければならない。一方で攻撃になった地区は、次の休戦期間までに自治区の旗を守りながら、敵地区の旗台に旗を刺しに行かなければならない。


・先攻と後攻は、スプーン戦争実行委員会の公平なくじ引きによって決められた後、スプーン戦争戦況報告委員会の放送によって、国民全員に伝えられる。




《武器に関するルール》


・参加者が使用できる武器は、玩具に限る。


・参加者が使用できる武器は、原則専門の武器商人から購入したものでなければならない。


・商人は安全性を認めた上で、サザリアの刻印がある武器しか販売してはならない。


・上記以外のものを武器として使用したい場合(例えば、第三回目以前のスプーン戦争で使用したものや、手作りのもの等)、必ず専門の武器商人に安全性の確認をしてもらわなければならない。


安全性の確認事項は以下の通りである。


1.殺傷力の有無。(想定通りの使い方で、相手を傷つける可能性の判断)


2.ライフを壊す為だけに使用できるもの。(サバイバルに必要なナイフ等、武器として一般に使用が考えられるものは、調理等の殺傷以外の目的ならば使用可)




《ライフに関するルール》


ライフとは、参加者の命のことである(第四回目では、「ライフストーン」がそれに当たる)。


・参加者は、敵から確実に見える位置にライフをつけなければならない。


・手持ちのライフが無くなった時点で、参加者は「戦死者」の扱いとなるため、直ちにサザリアの冠を被らなければならない。


・参加者が一度に持てるライフは、原則三つである。四つ以上の所持は認められない。ただし、何らかの理由でライフを所持できない場合は、代理人を持つことが可能である(「魔女と狼」)。


・参加者は三つのうち二つのライフを、定められた箇所につけなければならない。




《スプーン戦争実行委員会に関するルール》


・スプーン戦争実行委員会(以下「実行委員会」)は、全ての地区に於いて公平な立場になくてはならない。


・実行委員会は、開戦の一ヶ月前までに、全ての国民の同意及び建物保護の申請の有無を確認しなければならない。


・実行委員会は、祭典による国民の損害に対して、全ての責任を持たなければならない。


・実行委員会は、六つの地区に最低五人以上の委員で構成された班を配属し、開戦に向けた準備をしなければならない。


・一つの班に班長は一人とし、それぞれの班長はライフを五つまで所持することができる。


・各班長は、開戦式の際に配られる自治区の色のマントを、終戦までその体にまとわなければならない。


・班長が戦死者となった場合、その地区は全滅する。


・開戦から終戦まで(休戦期間は除く)、班に所属する全ての委員の権限は失効する。


・委員又は各班長及び班員は、一人一台トランシーバーの所持が認められる。ただし開戦後は班に属する全ての委員の権限は失効するため、祭典中トランシーバーの使用が許されるのは原則「休戦期間」のみである。


・班に所属しない実行委員は、審判に回る。各地区の旗台近くの物見台に主審が一人、副審は旗台が見える範囲に二人立つ。主審と副審は、それぞれの判断により勝利した地区の色の旗を高々と掲げる。旗の本数により勝負が決まり、勝負が決まったら主審は「勝負あり」と叫ぶ。




《スプーン戦争戦況報告委員会に関するルール》


・スプーン戦争戦況報告委員会(以下「戦況報告委員会」)は、全ての国民にラジオを通して公平な放送を行わなければならない。


・放送器具の設置は、開戦の三週間前までに行われなければならない。設置及び回収は実行委員会と共に行う。


・定期放送は、開戦後は毎日朝夕一回ずつ行う。開戦前は、トランテュ地区放送局から最低三回の試験放送を行う。


・戦況報告委員会は、小型の放送器具を持って現地放送に出向く場合、国民の邪魔をするなど、原則戦いに関与することは一切無く実況をしなければならない(「審判」は例外)。


・戦況報告委員会は、現地に出向く際、旗持ちが倒された際の審判に回る。その際はただちに戦闘を止めさせ、旗持ちのライフの数を確認する作業を必要とする。



《旗持ちに関するルール》


旗持ちとは、敵地区の旗台に自治区の旗を刺せる権利を持つ者のことである。


・旗持ちは、トランテュ地区を除く五つの地区から必ず一人選出される。


・旗持ちは、委員会の公平なくじ引きによって、満十三歳以上の国民全員から決められる。


・旗持ちは、開戦一週間前までならば、他人に役を譲る権利を持つ。


・自治区の旗を敵地区に刺しに行く場合、台座に旗を刺すのは必ず旗持ちでなければならない。ただし、台座までは誰が持って行っても良いこととする。


・旗持ちはライフを五つまで所持することができる。


・旗持ちは、開戦式の際に配られる自治区の色のマントを、終戦までその体にまとわなければならない。


・旗持ちが戦死者となった場合、その地区は全滅する。




《女王に関するルール》


・女王は、休戦期間を除いた開戦後から終戦まで喋ることを禁ずる。ただし、玉座の隣に立つ従者(一人)のみとの会話は可能である。




《その他のルール》


「サザリアの休戦」


・サザリアが開花している期間のみ、戦争の継続を認める。サザリアの花弁が閉じた場合、ただちに花守は狼煙を上げ、戦況報告委員会による放送で休戦期間の開始を告げなければならない。



「魔女と狼」


・祭典において「生者」として戦う意思があるが、何らかの理由で祭典に参加できない者(魔女)は、代理人(狼)を一人まで持つことができる。狼は魔女が本来持つべきライフを二つまで所持することができ、狼は計五つのライフを所持できる。ただし狼の持つ五つのライフが壊された場合、魔女と狼は同時に「戦死者」となる。



「信頼によるラジオ放送」


・全ての国民は、共に戦う仲間対して作戦の伝達を行う場合、戦況報告委員会の放送器具で放送をしても良いこととする。その際、予め放送日時を敵地区を含む全国民に伝え、自治区の伝達以外の放送はボリュームを絞るなどして、その耳に入れてはならない。




《跋文》


以上のルールが守られない者が居た場合、実行委員会はその者の「参加権」を剥奪し、監視下に置き、「戦死者」の扱いとする。

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