13:悪鬼羅刹
間違って先の話を載せてしまいまいました。
すぐに修正しましたが、皆様にはご迷惑をお掛けしまして申し訳ありません。
彼らは悪鬼羅刹の一軍としか言えなかった。日夜殺し合いをしている人と魔物たちが一同に沈黙しながら道を歩いている。
特に一段豪華な馬車周りは厳重な警備で、虫一匹入ろうものなら羅刹たちによって四股をもがれるだけではなく、永劫の地獄に落とされそうな殺気立ち具合。
ふとその時、馬車から腕が出てくると羅刹たちは歩みを止める。
ゆったりとした動きで馬車からたいそう美しい女性が降りてきた。その女性はまるで絵画から飛び出したほどの美しさで、仮に男装でもしようものなら数多くのうら若き女性の心を奪ってしまうほどの魔性を放っている。
女性はドレスが汚れることも気にせず屈み、恐怖から固まってしまっていただろう女の子の頭を優しく撫でで何かを囁く。すると女の子の耳はたちまち赤くなった。
それを見て女性は優しい笑みをして女の子と一緒に馬車へ乗った。
◆◇◆
女の子が転んでたから、ついついみんなの行軍を止めてしまったけど。めんごめんご!
それのせいでジェレミーがぶつくさ文句言ってきて鬱陶しいけど、可愛いは正義だもの!
宝箱と口を動かしてジェレミー黙らせる。
しっかしこの子、可愛いわね。
でも、なーんかどこかで見たことある気がするんだけど、誰だっけ?
まぁ、いいわ!
ちょこんと座った可愛いらしい女の子に年齢を聞く。
「あなたは今年でいくつ?」
「じゅ、十五になります」
え? い、一個下? てっきりもっと下だと思ってたのに……。
私が驚いてるとジェレミーが馬鹿にしたような顔をして口を開く。
「マリー、お前の基準で考えるな。普通ならそんなもんだ、お前が大きすぎなんだよ」
こ、こいつ!
昔は私に対しても敬語だったのくせに、最近は馬鹿にしたような口調になって!
「ぐ!」
女の子の視線を窓の外を向けさせてる間にジェレミーの足を思いっきり踏みつけた。
ふん。あんたはずっと黙ってなさい!
「仲良いな、お前たち」
ジャックが呆れた顔で言った。
「うん? ジェレミー様? どうされました?」
馬車の中で半泣きになって足を抑えているジェレミーに、可愛らしく頭を傾ける女の子。
「さぁ、私もよくわからないのよ。たまにある発作みたいなものだから気にしないであげて」
「は、はぁ……」
女の子はジェレミーをどこか可哀想な子のような目で見た。
久しぶりだが、解説しよう!
彼女の名前はイラリア・コルサーノ! 本来は修道女になり学園へ留学し、ゲーム主人公の仲間ポジションになるはずだったが……主にマリーのせいで、一般人となっていたんだ! 終わり!
「ふぅ、やっと神聖国とやらの聖地か? えらい辺鄙な場所だな」
「なんでも昔、神様が降りた場所らしいのですよっ! ジャック様!」
馬車の中で小さくぴょんぴょんはねながらイラリアが答えた。
本当かわいいわね、この子。
私がイラリアの頭を撫でると子犬みたいに「くぅん」と言って頭をこすりつけてくる。ジャックはそれを見て苦笑した。
あげないわよ!
「ハッ! そ、それで初代の教皇様がここを聖地とした……らしいのですっ!」
生暖かい目で見られたことに気づいたイラリアは、キリッと顔を決めていうが垂れ目のせいで面白い顔になってた。
かわいい。
「あっ! 聖騎士様ですっ!」
イラリアに釣られてをそちらを見ると、城門近くには数十名の聖騎士が剣を抜刀してこちらに向けていた。
何よ、こいつら。喧嘩売ってるにもほどがあるわね。
それに気づいたジャックは馬車を蹴破るようにして飛び出た。
「俺はパロメス帝国、第四皇子ジャック・ド・パロメスだ!」
えぇ、なんでこのアホはいきなり叫んでるのよ……。
無視していると私をキラキラした顔でイラリアが上目遣いで見てくる。
……とても見てくる。
……めっちゃ見てくる。
くっ、私もやらないといけない雰囲気じゃないの! このアホジャック!
私は渋々馬車から出る。
「第六皇女マリー・ド・パロメスです」
ふっ、私の華麗さにひれ伏しなさい!
こいつは渋ってたくせに、なんでいきなりこんなに態度に振り切れるんだろうか。
あれ? なんかどよめいでるんですけど……。
ん?
どうしてジェレミーは出てこないのよ?
馬車を見ると嫌そうな顔してイラリアに袖を引っ張られているジェレミーがいた。
「はぁ、第五皇子。はぁ……ジェレミー・ド・パロメス」
くくく、この間抜けめ!
自分も同じことをしていたというのにこの変わり身の速さ。みんなも見習おう。
ジェレミーはそそくさと馬車に戻ったので、私も入るとジャックは満足げな顔だった。
「ふ、あいつら俺たちに怖気付いてたぜ」
そ、そうよね! きっとそうよ……。
じゃなきゃ私の黒歴史が一枚増えることになるわよ! このアホジャック!
もう増えてます。
数分して馬車にウィルが入ってきた。
「みなさま、そろそろ入った方が良い頃合いかと。魔物たちも殺気だっております」
ジャックは腕を組んで未だに悦に浸り、ジェレミーは窓枠に肘をついていた。イラリアはキラキラとした眼差しで私たちを見ていた。
私は眉間を押さえる。
「わかったわ、もう聖騎士は無視してそのまま入りなさい」
代わりに私がウィルに声をかけた。
「もし彼らが文句でも付けようものなら……招待状と剣でも叩きつけてやりなさい」
「はっ」
ウィルは敬礼すると馬車から降りて騎士と魔物たちに指示を始める。
てっきりよくある因縁をつけられると思いきや、そんなことはなくすんなり入れることができて私は肩透かしを食らった。




