4話
「こいつのペースに乗せられるのは癪だが・・・話すとしようか」
悪態をつきながらもアンダルシアさんは説明をし始めた。
「まず何故かここで寝ていたかなのだが、簡潔に説明するとな・・・お前が倒れた後、城に連れて来たのは他でもないこいつなのだ」
え?
「しかも兵士複数人を同時に複数回往復してな」
は?
「そしてその後自分からここに捕まっているということなんだが・・・」
「ちょっ・・・!ちょっと待ってください!色々と訳わかんないんですけど・・・!私を一人で、しかも兵士の人達も一人で全員城まで連れて来たって何なんですか!?で、自分から捕まったって・・・」
「私もだ・・・この女がお前を連れてきたと連絡が入ってすぐ戻って私が帰ってきた時に丁度近衛兵達が囲んでいてな・・・」
アンダルシアさんも困惑していた・・・
「この方が他の兵士の方たちと雰囲気が違って見えたので、この方がこの城で高い地位にいる方と判断させてもらい交渉させてもらいました。で、少しでもそちらの警戒心を解いてもらう為にあえて捕まることにした訳です」
「・・・という事だ」
だから余裕があったのか・・・。無理矢理捕まったんじゃなくて自分からあえて捕まる事で交渉に持ち込むことが出来る。自らの優位性をある程度確保出来る。
そして実際戦ったから分かる事だけど・・・多分やろうと思えば城に・・・国に被害をもたらすことだって出来る力を持っている。けど彼女は望んでいなさそうだ。そこは安心出来そうな点だ。
「ここからが本題だ。貴様は一体何者だ?どこから来て何が目的なのだ?あの光の輪はなんだ、そしてお前のその力は何なのだ?」
「質問が多いお方ですね・・・そういうのは一つずつ丁寧に・・・と言いたいところですが・・・理解の及ぶ事やら・・・うーん・・・そもそも言語が異なってた時点で文明のレベルに差があるようにも思える・・・から・・・信じてもらえるかな・・・うーん・・・どうだろう・・・」
何やらブツブツと言い始めた・・・。
「では改めまして自己紹介から。私の名前は・・・先程も言いましたけどレイ・エルピス。私の国の秘密組織が極秘で進めていた『対終末平和維持計画【エルピス計画】』によって生まれた改造人間です。その初号体・・・それが私です」
改造人間・・・聞き慣れない言葉が出てきた・・・
「エルピス計画・・・知らんなそんなものは。聞いたことも無い。それで貴様は何処の国の人間だ?」「すみません。計画の関係上所属国は喋れないようにプログラムされてまして・・・」
「プログラムだと?まるでルファの科学で使う言葉だな・・・」
「喋れないって・・・でもこうやって喋って・・・」
「『あいうえお』」
「へ?」
突然意味不明な事を言い出したレイ。
「『あいうえお』です。あの・・・そちらからはなんと聞こえましたか?」
「うむ・・・『あいうえお』と聞こえたが・・・」
「やっぱり・・・機能稼働してるみたいですね・・・私は国の名前を言ったつもりなんですけど、プログラムの影響で別の言葉にすり替えられてしまうみたいなんです」
「どこに所属しているか分からないようにって事?」
「そんな感じです」
機密漏洩に厳しいんだ・・・。でもなんで『あいうえお』なんだろうか・・・。何か意味があるのかな・・・?、
「あるゲームでもこんな機密漏洩対策の仕方がありましたね・・・休暇の時にやりこんでましたけど・・・あれは面白いゲームだったなぁ・・・続編がないのが残念・・・」
ゲーム・・・?続編・・・?
「では次に目的・・・はありませんね」
「何?」
「そもそも私は何処かの国からやって来たわけではないのです」
他所の国から来たわけじゃない・・・?よく分からない・・・あんなに強かったら何処かで噂にはなるくらいなのに・・・
「信じられるかどうか分からないのですが・・・」
「何が言いたい?」
「私は・・・この『世界』の人間ではありません。別の時空・・・パラレルワールド・・・別の・・・『異次元の世界』から来た人間なんです」