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旅する閉者と世界のトビラ  作者: じょーや
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プロローグ

「閉者」と呼ばれる少女、クロアが人々の世界を目にしていく物語です。コメディありダークありシリアスありの多種多様な物語となっています。肩の力を抜いて読んで頂けると幸いです。

「ふぅ...中々面白かったですね」

そんな独り言を呟きつつ、私は元いた世界へと足を踏み入れました。

まさか衆人環視の下で告白を実行するとは。彼も中々肝が座っていたものです。

「どうだ?うまくいっていたか?」

「どうでしょうね。それを伝えるのは理に反しますので。一つだけ言うのであれば悲観はしなくていいと思います。堂々としているべきです。それでは、ご武運を。」

今私が見てきたのは彼のほんの少しだけ先の未来です。人間の心中に存在する世界を具現化した、本人にも分からない世界を、私は見てきたのです。

世界の人々には『扉』なる物を有しています。その奥には所有者から広がる世界が存在しています。『扉』には三つの種類があり、そこから覗く世界は面白い事この上ありません。

一に「現在」二に「過去」三に「未知」。この中で最も想いを馳せている時間軸がその人間の『扉』と化するのです。先程の彼の場合は「現在」の扉です。「現在」の扉は近い未来を覗く事ができます。といっても一時間程度なのですけれども。

彼は私に「今から想い人に告白したいと思っている。だがその前に結果を見てきてほしい。」と志願してきたのです。

ええ、お望み通り覗いてきましたとも。結果は仄めかす程度にしか伝えませんでしたが。

振り返れば彼はこちらを訝しげな目で見ていましたが、すぐに私とは逆の方へ走り去ってしまいました。

何故示唆程度にしか私が結果を伝えなかったのか。その理由は世の理を崩さない為です。

大袈裟だと思うかもしれませんが未来など本来は見る事は叶いません。それを教えてしまうとあったはずの未来が歪んでしまう可能性があるのです。それは決してあってはいいことではありません。たとえそれが良い未来に転ぶとしても。

なので私は、ほんのアドバイス程度に未来の可能性を示唆し、後は当人の判断に委ねています。

...まさかあの私の言葉が発端で彼はあんな場面での告白に至ったとか?

「...そんなことあります?」

「堂々としろ」とは言いましたがあそこまでするとは普通思わないでしょうが。どんだけ極端なんですか彼は。

まあいいです。それもまた彼の生き様ってやつですからね。私がどうこう口出しすることではありません。

さて、気分を入れ替えてと。

「次の世界を、見に行きましょう」

まだ見ぬ人の世界への期待を胸に、私は次の場所へと赴きました。


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