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僕たちはあれから少し時間を潰し、駅に向かうことにした。


すぐに駅に向かってみゆちゃんと会うと気まずいと思ったから。


瑠唯にそう言うと、頷きながらも苦笑していた。


◇◇◇


あの日から何回かいつものようにコンビニでバイトをした。


みゆちゃんともシフトが重なる日があったけれど、表面上はいつものように明るい彼女のままだった。


ただ、周りのみんなには少し違和感が感じ取れていたようで、茉莉さんやエリザさんが一緒の日には、なにかあったのかそれとなく聞かれもした。


一方、瑠唯はというと、最近、シフトに入る頻度が減っていた。

彼女とシフトが一緒の日に理由を聞いてみる。


「家の仕事で少しごたごたがありまして。まあ、たいしたことではないので、終わればシフトにはいります。」


そう言って、少し申し訳なさそうにしていた。


こういった状況が重なったこともあり、コンビニのバイト中は以前の明るい様子とは違い、少しギクシャクしているように感じられた。


◇◇◇


今日もいつもの道を歩いてコンビニに向かう。


目的地に近づいてきたとき、先に見覚えのある背丈と髪型をした女の子が見えた。


(あれは…、みゆちゃん?)


気のせいだろうか、彼女の後ろ姿からはいつもの明るい様子は成りを潜め、少し寂しい雰囲気が感じ取れた。


彼女の様子に声をかけようか悩む。


とはいえ、あの様子の原因にこの前のことが関係しているとすれば、このままでは駄目だと思い直す。


「みゆちゃん!」


声に気がついた彼女は足を止めてこちらに振り替える。


「え? あ、……あきらさん。こんにちわ!」


振り返った際には、声をかけたのが僕だと分かると少し戸惑っていたように見えたけれど、直後にはいつものような笑顔に見せる。


「いまからコンビニですか? 今日はあきらさんといっしょなんですね。」


僕はみゆちゃんに近づくと、回りくどいことはやめて、最近の様子の原因を聞いてみる。


「あの……。」


「どうしたんですか?」


「最近、みゆちゃんのようすが以前と違うのは、この前のことが原因?」


「何のことですか?」


彼女は全く動じた様子もなく、「いつもどおりですよ。」と続ける。


「いや、違うよ。」


彼女は僕の心の内を探るようにじっとこちらを見る。

ただ、その目は以前見せた冷たい目ではなかった。


「………。」


彼女はその場でため息をついて見せる。


「はあー。あれが原因というわけではないですよ。まあ、ショックを受けたのは事実ですけど。」


笑顔で答える。


「え、そうなの?」


あっさりと否定され僕は拍子抜けする。

いや、完全には否定はされてないのかな。


「はい。えと、私いつもと違ってました?」


「うん。少しいつもと違う感じがしたから。」


「そうですかー。あきらさんには分かっちゃいましたかー。」


「あと、茉莉さんとエリザさんも気にしてたし。」


そう言うと、彼女はこちらをジト目で見て、あからさまに落胆した様子を見せる。


「はあ。それがなければ良かったのに。まぁ、あきらさんらしいですけど。」


彼女は「それじぁ、行きましょう。遅れちゃいます。」そう言うと、前を歩き始めた。


「うふふ。」


「え、なに?」


彼女は僕の数歩先を歩きながら少し笑う。


「なにもありません。」


彼女は以前に見せていた明るさを少しだけ取り戻しているように見えた。

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