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店を出て周りを見渡すと、街の中にはまだまだ人通りが多い。
僕が周りを見ていると、その視線を遮るように瑠唯がこちらの前に立つ。
「先輩、何を見ているんですか? 」
「あぁ、まだまだ人が多いなと思って。」
「そうですね。地元とは違って人が多いですよね。……それじゃあ、先輩、行きましょ。」
彼女はさっと距離を狭めると、僕の手をとって引っ張った。
「あっ、どこに行くの?」
瑠唯のいきなりの行動に少し驚く。
彼女の顔は少し頬を赤らめていたが、僕と目が合うと、顔を向こうに向けた。
「えっと。あ、そ、そうだ。あっちに新しくできた雑貨のお店があって、見に行ってみていいですか。」
彼女は手はそのままに顔を向こうに向けたまま、口早に伝えてきた。
「雑貨? 」
「はい。最近、学校で噂になっていて。おしゃれな雑貨があるそうなんです。」
おしゃれな雑貨屋と聞いて、男が行くと目立つのではと思い、一瞬気が引けた。
「あの、ダメでしょうか……。私一人だと行く機会がなくて……。」
彼女はこちらを見ると、少し上目遣いのまま、恐る恐る聞いてくる。
僕は、そんな彼女の様子を見て、気が引けていたことも忘れ、心良く返事をした。
「全然、ダメじゃないよ。行こうか。」
「……はい!」
僕は、笑顔になった彼女に引っ張られる格好でお店に向かうのだった。
◇◇◇
「先輩、着きましたよ。ここです。」
その雑貨店は大通りから少し奥に入った場所にあった。
表からはずれた目立たない場所にもかかわらず、客の出入りは多そうで、既に何人かの人が出入りしていた。
思っていたとおりその多くが若い女性ではあったけれど……。
「へえ、感じの良い店だね。」
「はい。雑誌にも取り上げられたお店で、いま人気なんですよ。」
店の中には女の子が好きそうなかわいらしい小物がいくつか並んでおり、他にもおしゃれなマグカップといった食器類も並んでいた。
僕は瑠唯に連れられるままそれらを眺めていく。
「あ、これかわいい。」
瑠唯が見ていたのはポーチだった。
「先輩、これ、かわいいですよね。」
「たしかに、かわいいよね。」
彼女に同意すると、嬉しそうにして、それを手にとって眺め、うーんと唸っていた
値段を見ると手が出るお手頃な価格だ。
「それ気に入ったの? ……えと、瑠唯にプレゼントしようか?」
「え? いいんですか? うーん、どうしようかな……。」
彼女はさらに悩み始める。
その場でそのポーチを睨み付けるように見ながら唸り続けたあと、何かを決意したのか、ぶんと音が出るような勢いで顔をこちらに向ける。
「うーん、やっぱり今日は止めておきます。先輩にはまた今度お願いすることにします。」
「いいの?」
「はい! ありがとうございます。」
それから幾つかの小物を見たあと、その店を出た。
「先輩、次は表通りにあるゲームセンターに行きましょう。」
また、手を取られると連れられて向かうのだった。




