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少しフライングで投稿します。

「けっこう長居しちゃいましたね、先輩。」


二人でかなり話し込んでいたようで、気がつくとかなり時間が経っており、時間は夕刻に近づいていた。


周りを見ると、店の中には、入ったときにいた人々はほとんどおらず別の人に代わり、各々が思い思いに過ごしていた。


「そうだね。そろそろ出ようか。」


瑠唯の方をみて、僕は会計のために店員を呼ぶか確認する。


「そうですね。それでは先輩、次はどこにいきましょうか。夜までには時間はまだ少しありますよね?」


「へっ?」


会うための用事が終わり、てっきり瑠唯はそのまま帰るものだと思っていた僕は、思わず声をあげてしまった。


「どうしたんですか、そんな声を出して。先輩はもしかしてこのまま帰るつもりだったんですか?」


「えっ? うん、てっきりそうだと思ってたよ。」


「先輩、今日は休みじゃなかったでしたっけ? それとも、この後、他の誰かと会う約束があったり……。」


最後に彼女はうつむき、沈んだ声になる。

僕は彼女の突然の様子に動揺し、慌てて否定する。


「いやいや、そんな約束はないよ。そうだね、それじゃあどこか別の場所に行こうか。」


そういって、未だに俯いたまま沈んだ様子の瑠唯を誘う。


「……はい! それじゃ行きましょう、先輩。」


「へ?」


僕の言葉を聞いた瑠唯は先程までの様子とは打って変わって、顔を上げるとにこりと笑った。


「どうしたんですか、先輩。そうと決まればすぐに行きましょう! 時間は有限ですよ。」


先程までの様子が彼女の演技とわかり騙されたことに気がついた僕は呆気にとられた後、あはは、とただ笑うしかなかった。


彼女は、「あっ!」っと何かに気づいた風に声を出す。


「ところで先輩。先程の話ですけど。」


「さっきの話ってみゆちゃんの?」


いったい何の話かと僕は身構える。


「違います! 休日の日に会ったりする女の人っていたりするんですか?」


瑠唯は先ほどまでとは違い、かなり顔を近づけて聞いてきた。


僕は若干怯みながら彼女に答える。


「うっ、い、居ないけど……。」


「なるほどなるほど。」


彼女は僕の返答に満足したのか、笑顔を見せたあと、目を閉じてなるほどと繰り返し頷きながら席から立ち上がる。


二人で会計を済まし、店を出るのだった。

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