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彼女の話は続く。
「この土地は魅幽の鳳家が管理していると言いましたが、現在は鳳家を含む4つの家が管理しています。その四家をまとめているのが彼女の家になります。」
僕はふと、瑠唯と夜に出会ったときのことや、みゆちゃんと幼馴染みであることを思い出す。
「その一つが瑠唯の家ということ?」
「正解です。先輩、よく分かりましたね。その家の一つが私の実家の榊家です。」
瑠唯は驚いた顔をして見てくるが、僕は苦笑いする。
「これまでの話の流れから、さすがに分かるよ。」
「あはは。そうですよね。」
「えと、それで話を戻すと、昨日のみゆちゃんの様子とどう繋がるの?」
瑠唯は僕の言葉に一つ頷くと、話を続けた。
「はい、この地を管理している魅幽の一族は、この地に出入りする能力者に敏感です。常にその目的に知るためにいろいろなところに目を光らせています。」
「つまり、その能力者?である僕が、みゆちゃんとその家に怪しまれているってこと?」
「いえ、今回に限っては魅幽の家はあまり考えなくても構いません。まあ、魅幽に怪しまれているのは私のせいではあるんです。」
僕は瑠唯の言っていることが分からず、首をかしげる。
「ええと、つまりは魅幽の家については問題は片付いているんです。」
「片付いている?」
「はい。先日、先輩に夜助けていただいた事がありましたよね。」
「うん。」
彼女を榊から瑠唯と呼ぶきっかけとなったあの夜のことを思い出す。
「あの後、榊の現当主である祖父に私の両親からお願いし、先輩に害はないことを鳳家の当主との間で話しをつけてもらいました。先輩は私の家の庇護下にあることになっています。」
「えと、そんなことをして瑠唯の家は大丈夫なの?」
「はい! 大丈夫です! それに先輩に受けた恩を仇で返す訳にはいきません。先輩のことを両親に伝えると、凄く喜んで応じてくれました。あと、春がなんとかって言ってましたけど……。」
瑠唯は興奮した様子で僕に顔を近づけ、ハッとして顔を離すと顔を赤らめる。
僕は両親の様子に何を話したのか聞こうとして、相棒の声に口を紡ぐ。
(察しなさい、この鈍感……。)
僕はなぜか相棒にダメ出しをされた。




