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いつもありがとうございます。

所謂、説明回です。

「まず、特殊な事情を持つ先輩はご存知ないでしょうが……。」


瑠唯はそう言って話し始めた。


「この地にいる能力をもった人間はだれもが知っていることでして、この地の下には非常に大きな竜脈が流れています。」


僕は一先ずうなずいて、彼女の話の続きに耳を傾ける。


「このことはかなり古くから知られており、当時、時の政権がある一族にこの地の管理を任せました。」


「えと、もしかして、その家がみゆちゃんの?」


「結論から言えばその通りです。正確には魅幽の家ではなく、魅幽の一族と言った方が正しいですが。」


「それって何か違いがあるの?」


僕にはその違いが分からずに聞き返した。


「はい。先ほどお話ししたこの地の管理者は鳳家の当主が行います。今の当主は魅幽のお祖父様なので、今の管理者は魅幽の家で合っていますが、当主が交代するとき、その一族の中である年齢に達しているものの中から一人が選ばれることになるのです。」


「つまりみゆちゃんの親戚も含めて選ばれるってことなの?」


「そうですね。当主争いの末に一人が選ばれます。ちなみに魅幽も次期当主候補の一人ですよ。」


「みゆちゃんも? バイトの時の様子からは全然そんなふうには見えないけど。」


そうは言いつつも僕の頭の中には昨晩見た目みゆちゃんの姿が思い出されていた。


あれが当主候補としてのみゆちゃんの片鱗だったのだろうか。


「たしかに普段のあの子の様子からは想像できないでしょうね。正直あの子がコンビニでバイトすると言った時には驚きましたよ。でも、あの子の本質は計算高く、そして非情です。」


瑠唯は、僕の持っていたみゆちゃんの印象をさらりと否定した。


「ますますそんな風には見えないよね。だっていつもあんなに明るいし、バイト中もよく気が利くし……。」


「権謀術数に長ける鳳家の人間は基本的には相手に感情を気取られません。というか、私はバイト中の魅幽と先輩の関係が気になってきたんですけど。」


僕があまりにみゆちゃんの肩を持つからか、瑠唯がジト目で僕を見ていた。


慌てて手を前に出して横に振る。


「いやいや、本当に何もないよ。すなおに見えないなと思ってただけで。」


彼女はジト目のまま、少しの間見続けた後、目を閉じるとため息を一つついた。


「はあ。まあいいです。それでは続けますね。」


「お願いします。」


僕はうんうん、と頷いた。

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