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少し短いですが、よろしくお願いいたします。
「ちょっと早く着きすぎたかな。」
僕は住んでいる町から2駅離れた駅から出ると、近くにある時計を見て呟く。
時計は待ち合わせの時間より30分ばかり早い時刻を指していた。
(そうでもないと思うわよ。)
(そうかな? 30分前だし充分だよ。)
(いいえ、もっと早く着いた方が良かったんじゃない? そもそもアキラは準備を始めるのが遅すぎるのよ。)
相棒の小言を聞きながしながら待ち合わせ場所に向かう。
遠目に見えたその場所には、既に女の子が一人、待っていた。
(え? あれは瑠唯?)
(だから言ったじゃない! もっと早くに出なさいって! )
(いやいや、30分前だよ、まだ。)
(はぁ。分かってないわね。いいから瑠唯のところにいそいで行きなさい!)
相棒に言われるがまま、急いで向かった。
◇◇◇
「瑠唯、ごめん。待った?」
急いで近づいて声をかけると、その場に待っていた彼女は声に気がつき、こちらに振り向いた。
「あ、先輩、いえ全然待ってないですよ。」
振り返りこちらを向いた彼女はよく見ると、以前、夜に見かけたときの私服とは違い、かわいらしい装いをしていた。
一瞬、その格好に見とれていると、彼女は少し照れたように俯いた。少しして、上目遣いでこちらを見る。
「せ、先輩、そのどうでしょうか、おかしくないですか?」
僕は瑠唯の様子にドキリとし、言葉に詰まる。
「……あ、うん、すごく似合ってる。」
(はあ、もっとあるでしょ、言い方が。かわいいね、とかいろいろ。瑠唯がかわいそうだわ。)
(う、うるさいな、分かってるよ。)
「い、いつもと雰囲気が違ってたから驚いたよ。す、すごく可愛いね。」
彼女は俯いたまま顔を赤くした。
(うんうん、やればできるじゃない。その調子よ。)
(ま、まあね。……いやいや、というかなんか目的変わってない?)
(……。)
(おい! )
心の中で相棒と言い合っていると、瑠唯は、端から見ると黙ったままの僕に話しかけてきた。
「あ、あの先輩? どうしました?」
「あ、いや、なんでもないよ。それより、どこに行こうか。」
そう言って、僕は先を促したのだった。




