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よろしくお願いいたします。

帰る途中、いつものみゆちゃんからは想像できない様子だったのが気になり、気がつけばすでにコンビニまで着いていた。


それから仕事中も身が入っていない僕に、茉莉さんは訝しげにしていたが、それを気にする余裕もなかった。


まあ、深夜ということもあり客の数も多くなかったため、咎められることもなかったのだが。


時間が過ぎてシフトが交替する時間となり、店長に引き継ぎが終わった茉莉さんが僕の方にやってきた。


「あんた、ぜんぜん身が入ってなかったわね。」


「うっ、すいません。」


「……まぁいいわ、何を気にしているか知らないけど、次回までには治しときなさいよ。じゃあね。」


そう言って、茉莉さんは帰っていった。


◇◇◇


アパートに帰ってきてから昨日のことを思いだす。


(あの時、みゆちゃんには瑠唯とあの晩にあったことを言った方が良かったのかな……。)


悩んでいると、相棒の声が聞こえる。


(そんなに気になるなら、瑠唯に聞いてみたら?)


(聞いてみるってどうやって? バイトも少し間が空くって言っていたし、すぐには聞けそうもないけど。)


(それがあるじゃない、そう、その黒色の四角いの。その道具を使えばはなせるんでしょ?)


僕は床に置いていたスマートフォンを手に取る。


(スマホ? いや、たしかに話せるけど、瑠唯の電話番号なんて知らないよ。)


(番号は私が知ってるわ、瑠唯から聞いてるから。教えてあげるから聞きなさい。)


急かす彼女に言われるがまま、番号を押してみる。


(本当に合ってるんだろうな、この番号。)


プルルル。


何度か着信音が鳴る。

何回か鳴った後、もう一端切ろうかとおもったやさき、話しかける声が聞こえてきた。


『はい、もしもし。』


声はたしかに瑠唯のように思えた。


『あの、もしもし? えと、間違い電話ですか?』


「あ、もしもし、弓取です。弓取あきら。」


切られそうになったので慌てて話しかける。


『……へ? せ、先輩? え、どうして番号を……。あ、ちょ、ちょっと待っててください。』


電話の向こうからバタバタ騒がしい音が聞こえる。


『……母さん、なんでもないの、ちょっと向こうにいってて! せ、先輩、一端切ります、直ぐに掛け直すんで待っててください。』


電話越しにも関わらずその迫力に圧され、思わず返事をする。


「わ、分かったよ。」


『絶対ですよ。』


「分かったから、ちゃんと待ってるよ。」


その声が届くとすぐに、プーッ、プーッ、プーッという音が聞こえてきた。

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