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39

それでは、39話目にはなります。

二人で並んで歩いていくと、住宅街に差し掛かり始めた。


住宅街に少し入ったところで、みゆちゃんが立ち止まる。


「あきらさん、今日はここで良いですよ。まりさんをずっと一人にしているのは申し訳ないんですし。」


「大丈夫?」


「もう、子供じゃないんですから大丈夫ですよ。それに此処から家までは近いですから。」


そう言って歩き出した。


みゆちゃんの言うとおり、もう少し歩けば彼女の家だし、ここからは街灯もそこそこ多い。


僕は、まあ大丈夫かと思い、彼女をここで見送ることにした。


「あぁそうそう、あきらさん。一つ教えて下さい。」


「えっ、何?」


彼女は僕を横を抜けて少し行ったところで振り返らずに話しかけてきた。


その声は彼女らしからぬひどく無機質な感じがして、背筋が少し冷たくなる。


「さっき、るりちゃんに会ったって言ってましたけど、その時、手には何か持ってましたか?」


「えっ? えと、なんでそんなことを?」


「……いえ、ちょっと気になったもので。それで、どうでしたか?」


彼女は背を向けたままでどんな表情で言っているのか分からない。


彼女は瑠唯の幼馴染なのだから、おそらく手に持っていたものも知っているのだろう。

ただ、そのまま素直に話すのは、彼女の雰囲気から不味いような気がした。


僕は惚けるように答える。


「あ、あぁ、うん、持っていたよ。何か長い棒みたいなものを。」


「あきらさんは、その中身が何が知っていますか?」


「いや、な、何かは知らないなあ、何だろうあれ。」


背を向けたままなのに、彼女に気圧されながら、なんとか返す。


「……あれ、人も切れる刀なんですよ。」


僕は何を言ってもぼろが出そうで、返す言葉が見つからず、じっと押し黙る。


彼女はゆっくりとこちらを向く。

一瞬、彼女の目が左右異なる色、赤と紫に光っているように見えた。


彼女は僕の方をジーと見る。

その表情は無機質で、こちらを見抜こうとするその目を見て一瞬、ぞくりとした


少し時間が経った後、はあ、と溜め息をつき表情が和らぐ。


「って言ったらどうしますか?」


「え? えーと、冗談? みゆちゃんも人が悪いなあ。」


「……まあ、いいです。今日はこれぐらいにしておきます。」


彼女は振り返り、家の方へ歩き始める。


「それでは次は本当のことをお願いしますね、あきらさん。」


背を向けたまま言う彼女らに、僕はただ、こくこくと頭を上下に振って彼女をただ見送った。

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