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少し短いですが切りが良いので一度更新します。
それでは、よろしくお願いします。
コンビニにやって来る客の数も少し落ち着きを見せて、僕もホッと一息ついていた。
「あきらさん、ようやくお客さんの数も減りましたね。」
「そうだね。いつもより少し多かったね、ちょっと疲れたよ。」
「本当ですね。」
みゆちゃんは、その場ではぁっと疲れたそぶりを見せ、その後、こちらをジーっと見た。
「……あきらさん、最近るりちゃんと仲が良いですよね。」
「まあ、瑠唯とは前よりは話すようにはなったとは思うけど……。」
「それ! 以前は榊って呼んでいたのに、この前から名前で呼んでますよね! ……それに話す時の距離も近いと思います。 」
みゆちゃんは、まるで、刑事物のドラマでお前が犯人だと言わんばかり叫ぶ。
「な、名前は瑠唯がそう呼べって。そ、それに距離はそんなに近くはない気が……。」
「いいえ、 近いです! 何があったんですか? 教えてくださいよぉー。るりちゃんに聞いても肝心のところをはぐらかすし……。幼馴染みなのに酷いんです。そう思いますよね、あきらさん!」
僕はじりじりと近づいてくるみゆちゃんに気圧され、後ろに下がる。
「お、落ち着いて、みゆちゃん。」
手を前に出し、まあまあと彼女を宥めようとする。
「いいえ、私は落ち着いてます。」
そう言いながら、僕が下がるのと併せるように近づいてきた。
(なかなか楽しい状況ね。)
(そう思うなら、この状況から抜け出せる良い案を教えてよ。)
(ふふ、無理ね。せいぜい頑張りなさい。)
相棒にも見放され、途方に暮れる。
(アキラ、良いじゃない。この世界は概ね平和ってことよ。)
心の中で聞こえてくる、相棒の他人事のようなこと(まさしく他人事なのだけれど)を聞き流す。
「はあ、あんたたち、何やってるの? 仕事中でしょ?」
「まりさん!」
みゆちゃんが 後ろを向く。
声の主を確認すると、そっちにに走っていった。
僕もそちらを見ると、そこにいたのはバイトの同僚で先輩の鷺ノ宮茉莉さんだった。




