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いつもありがとうございます。
今回から2章になります。
あれから瑠唯とはバイトに来て、いっしょに仕事をしている。
みゆちゃんよりは頻度が少ないみたいで、先日シフトがいっしょになったときには愚痴を言っていた。
「あまり多くバイトを入れると父が怒るんです。」
「やっぱり両親は心配なんじゃない?」
「いえ、母はそんなことないんですけどね。本当はもう少し入れたいんです。……そうすれば先輩ともっと居られるし……。」
「え?」
「な、何でもないです。」
瑠唯は焦ったように手を前に出して横に振る。
「え?もっと大きな声で?ノ、ノーツさん、これ以上は無理ですよ。」
最近、うちの相棒は瑠唯のところにお邪魔しているみたいで、二人で色々話しているそうだ。
相棒に何を話しているのか聞いてみると、いろいろ助言しているらしい。詳しい内容は秘密だとはぐらかされたが……。
瑠璃はこちらを向いて、
「ごほん、えと、魅幽はもう少しシフト入れてますよね。」
「たしかにそうだね。」
「魅幽も家の用事が忙しいと思うんですけどね。魅幽がバイトするって言ったときは驚きましたよ、本当に。」
「え?そうなの?」
「ええ、家の許可が出ないと思ってましたからね。あっ、仕事しましょ、先輩。」
瑠唯は笑顔でレジに向かった。僕は少しの間、瑠唯を見ていると、
(どうしたの? 鈍感男。)
(いきなりなんだよ。というか、最近、瑠唯のところに行き過ぎじゃないか?)
(いいのよ、あの子の許可は貰っているわ。それに、あの子とは相性が良くて、あっちに居ると魔力の回復が早いのよ。)
そんな言葉を聞き流しながら、棚の整理を始めた。
◇◇◇
バイトが終わり、店の外に出る。瑠唯は先に出ており、僕を待ってくれていた。
「先輩、途中までいっしょに帰りましょう。」
頷いて、ならんで歩き始める。
「そういえば、この前の件は無事に済んだのかな? あれから何も起こってはいないけど。」
以前から気になっていたことを聞いてみる。
「この前の件? ああ、先輩に助けていただいたあの時のことですか。ええ、問題ないですよ。解決しましたので、先輩は心配しなくていいです。」
こちらを見てにこりと笑い、続ける。
「まあ、私が先輩と一緒にバイトしているのも、あの件の一環と思ってください。…… まあ、私情も入ってますけどね。」
僕から目をそらし前を向いて呟く。
そうこう話しているうちに、別れる場所まで到着した。
「そうそう、次のバイトまで少し間が空きますが、魅幽にばかり構っていたら拗ねますからね、私。」
そう言う彼女に僕は苦笑いしながら手を振る。彼女は笑いながら家の方に向かって帰っていった。




