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二話目の更新になります。ご注意下さい。

それではよろしくお願いいたします。

男はその場から消えたように、地面を蹴って瞬時に移動し、僕の目の前に現れる。


僕は男の方を向いたまま、一跳びに後ろに下がる、と同時に目の前からシュンっと音が聞こえた。


目の前に見る男は腕を振りきった格好のまま、こちらを向き驚きの表情を浮かべていた。


「さっきみたいにはいかないよ。」


(いやいや、私のおかげでしょうに。)


確かに彼女の幾つかある恩恵の一つである、持ち主の力を高める効果のおかげでもあったが、心の声を無視し、不敵に男に笑いかけた。


ふと、横目で見える榊も、今の光景が信じられないのか目を見開き、驚いた表情を浮かべていた。


男は僕が避けたのが信じられないのか、再び僕の体を掻き切るように腕を振るう。


僕は、何度も繰り返し振るわれる腕を避けながら、もう忘れていたと思っていた異世界で勇者として戦っていたときの感覚が、男の攻撃を避ける毎に徐々に身体に戻って来るのを感じ、うれしさと懐かしさを噛み締めていた。


(まったく、うれしいのは分かるけど。油断しないでよね。)


(分かってるよ。うわっと。)


僕の服に男の爪がかすり、かすった部分の服が僅かにちぎれ飛ぶ。


(ほら、言った側から。遊んでないでさっさとなさい。)


怒る彼女に謝りながら、男の攻撃が止まった瞬間に僕は一度後ろに大きく跳ぶ。

そのまま、地面に着地すると、人の頭を飛び越える高さまでその場で高く跳び上がっ。


僕はその頂点に達するかどうかといった時、跳ぶと同時に構えていた弓から矢を放つ。


「行け!」


ようやく解き放たれた矢は、光を纏いながら男に向かって飛んで行く。


矢の飛ぶ先が自身の僅かに手前となることが分かったのか男がニヤリと嗤うのが見えた、と同時に飛んでくる矢を見据え距離を空けるようにガッという音とともに地面を蹴り後ろに跳ぶ。


(ふふ、行きなさい。)


そのまま矢は地面にぶつかるかと思われた時、心の中から聴こえる彼女の声に答えるように、キュンという音とともに矢は空に向かうように角度を変えた。跳び上がって身動きできない男の方へ自ら向かうように。


「えっ?」


側から榊の戸惑う声が微かに聞こえる。


男を貫いた矢はそのまま光の筋を残し空へと向かいきえる。


彼女が呆然と見る先で、ドサッという音とともに、胸に大きな穴をあけた男は地面に落ち倒れ伏したのだった。

次回は土曜日には更新したいと思います。

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