玄関にて
家に帰ると、玄関ではお兄様達とお父様とお母様が待っていた。家族揃ってのお出迎えだ。
でもお兄様まで私を待っていてくれているとは、驚きだ。だって私とお兄様達はあまり仲がよろしくないのだ。
ゲームではお兄様達はおどおどしている妹相手に素直になれなくて、居なくなってから妹の大切さが分かると言う悲しいものだった。
でもいくらゲームを知っていたってそうであるとは限らない。
そんなわけないと思っている自分もいた。
私はフレイリア·ウェルローゼ。
前世の記憶が戻って少し変わったとしても私がフレイリア·ウェルローゼだと言うことに変わりはないのだ。今までの記憶に前世の記憶が入っただけと言うのが正しいか。
だから私にお兄様達が玄関でわざわざ私を待っている理由など分かるはずがないのだ。私はエスパーではない。エスパーになりたい訳じゃないけど。
あ…そう言えば私、おどおどした雰囲気が抜けているわ。今気づいた。
どうしてだろうか。幸せになろうと決意したからだろうか。そうかもしれない。
いつまでも気弱ではいられないもの。これはとても良いことだと思う。
そうごちゃごちゃと考えていると
「リアっ!」
と言ってお兄様達が私に駆け寄ってきた。お兄様達は私の事をリアと呼ぶのだ。
「リオスお兄様、リトスお兄様。只今帰りました。」
お兄様達の前で軽く一礼をする。
双子でも、リオスお兄様の方が少し早く生まれたのでリオスお兄様が一番上の兄だ。
髪はさらさらの銀色で、瞳の色は私と同じアメジスト。本名はダルテリオス·ウェルローゼ。
リトスお兄様は二番目の兄だ。
本名はヘーデリトス·ウェルローゼ。リオスお兄様と同じく髪は銀色、瞳はアメジストだ。区別の付け方は簡単。
目がキリッとしているのがリオスお兄様で、目が少し垂れぎみなのがリトスお兄様だ。
声も違うので尚更分かりやすい。現在10歳だ。
そんな彼らの顔は不安そうだった。…心配、してくれたのだろうか、私を。
「誘拐されたって本当なのか!?何もされていないのか。」
「俺達リアが誘拐されたって知ってから気づいたんだよ。君が俺達にとって大切な存在だったんだって。」
お兄様達が私を抱き締めてくれた。今まで冷たくされていたからとても嬉しい。そう考えていたら話すのが嫌で黙っていると勘違いしたらしいお兄様が、
「すまん、リアは人と話すのが苦手だったか。ただ私たちがリアに伝えたかっただけなのだ。」
そう言ってリオスお兄様は抱き締めてくれていた腕をパッと離すと、リトスお兄様も同じように話していた。そうじゃないのに。
私は人と話すのが苦手だったけど、これからは違うのだ。多少人の輪に入るのが苦手かもしれないが、人見知りは多少なおったのだ。
あくまで多少だが。そう言えばユーデル様は全く人見知りしなかった。
落ち着いているからだろうか。
お兄様達に仲良くしたいと言えば仲良くしてくれるだろうか。
少々難易度が高いが言うことにしよう。話さなければ変わらない。
「ありがとうございます。これからは仲良くしてくれますか?」
はっきりと言えた。
こんなのは初めて…ではなかったユーデル様が初めてだ。でも初めてに近い。
お兄様達は驚いていた。そりゃあいきなり、おどおどしていた妹が変わってしまったら驚くだろう。
「リア、変わったな。殿下と会ったからか?」
「そうかも。とってもいい変化だと思うよ。リアは前を向いていた方が素敵だよ。」
二人は驚いたがこのことを褒めてくれた。思わずふにゃりと笑ってしまった。
ダメだ気が抜けている。
今までの二人じゃ考えられないが、これがこの先続いて行くのかと思うと心が温かくなる。
今まで気づいていなかったが、私は家族に恵まれていたのか。お父様が厳しくて冷たい人だが、お母様がとても優しい人だ。
恋愛結婚らしいお父様とお母様。
この前お母様にお父様のどこが好きなのと聞くと『優しくて家族思いな人なのに素直になれないところよ。』と言われた。
お父様も話してみれば仲良くなれるだろうか。
お父様とお母様に帰ったことを報告すると、お風呂に入って服を着替えることにした。
走りすぎて汗をかいてしまっているし。お父様とお話しするのはまた今度にしましょう。
そんなことを考えながら、お風呂の用意をしてもらうよう侍女達に頼んだ。侍女達は驚いていた。
いつかは慣れる日が来ると思うので気にしないが。そして私はお風呂の用意が出来るまで部屋で待つことにしたのだった。
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