表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/137

第二の研究員

ーじゃあ、ももかちゃんは今何が欲しい?-


ももかは・・・お父さんとお母さんと・・・お兄さんがほしいです。

お料理の上手なお母さんのご飯をまた食べたい・・・おはなしをたくさん聞いてくれた・・・お父さんとお兄ちゃんとまた・・・いっしょにおうちに帰りたい!


ー・・・そうだね、お父さんたちと会いたいよね・・・それじゃあ、ももかちゃんに新しい家族をプレゼントしてあげよう。ー


・・・?新しい家族?ももか、新しい家族じゃなくてもとのお父さんたちがいいの。・・・新しいはいらない・・・天国にいるお父さんとお母さんをつれてきて。


ー大丈夫だよ、ももかちゃんのお父さんとお母さんへの思いが強ければ、本当のお父さんとお母さん以上にももかちゃんのおとうさんとお母さんが出来上がるから・・・ー


むずかしいこと・・・よくわからないけど、お父さん・・・帰ってくるの?

ももか、お父さんの頭・・・とっちゃったから・・・ごめんなさいしないといけないの!

おねがいします。ももかのお父さんたちをももかにかえしてください!


ー任せて、おじちゃんたちがももかちゃんの家族を返してあげるよ。・・・かわりにももかちゃんは、お父さん、お母さんにたくさんお話をしてあげてほしいんだ、そして返ってきたことはおばあちゃんにも内緒だよ、約束できるかな?-


約束、する!できます!みんなを帰してくれるのなら、ももかたくさんお話しします!おばあちゃんにもだれにも言いません!


白衣を着たおじちゃんと指切りげんまんをした日から一週間がたって、ももかは前にお父さんと来たパソコンのたくさんある研究所のお部屋につれていかれました。


「ももか、ただいま。」

「ももかちゃん、一人にしてごめんね。」

「モモたん、また宜しくね!」


「お父さん、お母さん!それにあの時のお兄さん!」


ももかが走っていくとお兄さんが抱っこしてくれました。

まるで魔法みたいです。本当にお父さんも、お母さんも・・・お兄さんまでも目の前にいるのです。


「すごいよ、ももか・・・もう会えないって思ってたのに、神様ってほんとうにいるんだね。」


うれしくて、うれしくてこぼれる涙をお兄さんがふいてくれて、頭をなでてくれました。


「・・・モモたんが本当に良い子だったから、神様が見ていてくれたんだよ。」


なぜか、お兄さんは少しだけ悲しそうな顔をしていましたが、ももかにはそんなことは関係ありません。

だって、死んでしまったっておばあちゃんが言っていたお父さんとお母さんとまたこうして会うことができたんです。きっと、すべては勘違いだったのです。だって、ちゃんとこうして、ここにいて、ももかの名前を呼んでくれているんだもん。


「ももか、話したいことがたくさんあるの!たくさんたくさん・・・そうだ、その前に大切なこと忘れてた。お父さん、頭・・・とっちゃってごめんなさい・・・痛かったよね。」


「平気だよ、ももか。心配かけてごめんな。お父さん直してもらってきたから、もうももかの前で壊れたりしないぞ!」


「そうよ、ももかちゃん、お母さんももう病気にならないから、ずっと一緒よ!」


「すごい、すごい!もうお母さんも病院にお泊りしなくていいんだ!ももかとずっと一緒なんだ!お兄さんも?」


ももかがぴょんぴょんジャンプして喜んでも、やっぱりお兄さんだけは少し悲しそうな顔をしていました。みんな笑顔なのにどうしてかな?


「・・・俺とモモたんだけは、ケガもするし病気にもなるか気を付けないとだめだよ。」


「そうよ、ももかちゃんが病気になったらお母さんとっても悲しいから、元気に大きくなって、ずっとお母さんとお父さんにいろんなお話を聞かせてほしいの。」


そうか、お兄さんはももかとお兄さんは病気になるからがっかりして元気がないんだ。お父さんとお母さんとちがうのはたしかに悲しいけれど、なによりまたいっしょなのがうれしいのに!

お母さんの優しい笑顔と、お父さんのちょっと頼りない顔を見ているとももかはそれだけですごくすごくしあわせ!

そこに、もう会っちゃいけないって言われて「ありがとう」も言えなかったお兄さんもいるんだから、本当にももかは夢じゃないかなって心配になるくらいなの。


「あ、そうか、だいじょうぶだよ、お兄さんももうももかたちの家族だから、おまわりさんにつれていかれたりなんかもうしないよ!またいっしょにオムライス食べよう!」


お兄さんがふるふると震えながら、大きな声で「ごめんなさい」を繰り返して泣きながらももかをだきしめた。おまわりさんに連れていかれたの怖かったんだよね?だいじょうぶ、ももかがお兄さんは悪い人じゃないってちゃんとお話すれば分かってもらえるから。

お兄さんの力はすごく強くてちょっと苦しいけれど、しあわせだなってももかは笑うの。

今日は久しぶりにお母さんとオムライスを作ろう!みんなで食べたらきっと今までで一番おいしいオムライスができるから。


「お父さん、お母さん、大好き!お兄さんも、これからはみんなでなかよくしていこうね!」


たいじな家族にかこまれて、ももかはとってもしあわせです。


そうだ・・・それから、ももかは研究者っていうのになれたそうです。

これもお父さんとおそろいでとてもうれしいです。

お父さんみたいにりっぱな研究者になれるようにがんばります!



ーモモたん・・・君のことをこんなにも壊してごめんなさい・・・

俺は一生かけても償えない罪を犯してしまったけれど、そばにいるから、モモたんが真実に耐えられる日まで絶対に両親の秘密を隠し通すから・・・

ただモモたんを世界一幸せにしたかっただけだったのにどうしてこうなってしまったんだろう・・・

ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・

できるのならば、あのお祭りの日に戻って・・・モモたんをちゃんとおうちに帰してあげたい・・・・-




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ