表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やんでれさんのほしいもの♡  作者: 橘 莉桜
現実世界と境界線
45/137

デート

うまいこといった。入ってきた瞬間から狙っていたゆなちゃんと外出することができることになった。

初めての来店ということと、可愛らしい見た目から男たちの間ではトークの申し込みの順番を奪い合うような状態だった。

しかし、俺はあえてその戦いには挑まなかった。

マジックミラー越しとはいえ、目を見ていればわかる。ゆなちゃんはなにか「確かな決意」をもってここに来ている。例えばエムの女の子ならば多少強引に押せば押しとうせることもあるが、こういうタイプについては、作戦を練るに越したことはない。

案の定、先に勇んで声をかけていった男たちはすごすごとまたこの部屋に戻ってきて

「あの子はだめだなー、可愛いけど、話そうとする気がない。」

「ですよね、お高く留まってるんですかね?こんな店にいるのに。」

などと自分のことを棚に上げた会話を始めている。相手のことを知りもしないで話をかけようとする勇気だけは認めてやろう。そして、彼らの1000円は無駄にはならない。俺にとってのチャンスが積みあがったわけだ。ありがとう。

一時、姿が見えなくなった時には帰ってしまってのではないかと心配になったが、事態は好転した。

ゆなちゃんはこの店でも常連と言われてきているあずさちゃんと仲良く座っておしゃべりを始めたのだ。

俺事態は、回転嬢とはあまり外出する気にならないので、あずさちゃんとトークしたことはないが、ここにいる男の中では人気も高く、そして誘いにも乗ってくれやすいと話題になっている。

二人になった瞬間に、男たちのテンションがまたあがった。可愛い女の子が二人で仲良くしゃべっているのを見守りたいそんな風に感じたんだろうが、俺はラッキーと思った。

あずさちゃんがいればゆなちゃんは付いてくる。

確信にも近い予感がした。

おまけにあずさちゃんは、誘いに乗りやすいタイプと来たら、誰かが先に声をかける前に動き出さなくてはいけない。

店員に声をかけ「二人同時に」話をしたい旨を伝える。当然あたりは困惑していた。

なかには「あいつ二人とも相手にしようなんて、ばかじゃねぇの?」という声まで聞こえてきた。

小さいなーと思った。

他人がどうしようと知ったことじゃないだろ。それに俺の目的はあくまでも「ゆなちゃん」と外出することにある。多少金額はかさむが、あずさちゃんなら一緒についてきてもまったく外れではないポテンシャルを持っているので関係ない。


・・・ただ、まぁその(・・・)あずさちゃんをどう追い払うかは大きな問題点ではあるが、今はとにかくゆなちゃんと外出するチャンスが広がったことに賭けるだけの価値はある。


トークルームで簡単な会話をする。

やはり会話の大部分はあずさちゃんとのものとなった。でもこれはこれで都合がいい。聞いていた通りあずさちゃんはノリがよくカラオケにも誘い出すことができた。ゆなちゃんのことは残念ながらあまり聞き出すことはできなかったが、カラオケで食事と酒でも好きなようにご馳走しよう。

こういうところで金をケチっていてはいけない。

この子たちとナニができるかは、あとはもう俺の話術と金と運次第なのだから。


先に店から出て、二人が出てくるのを待っている。どうせ店員が戻ってくるように説明でもしているのだろう。だけど、一歩店から出さえすれば、もう彼女たちを支配下に置くことはできない。好きなように言えばいい、俺はゆなちゃんと遊べればいいのだ。

そのためにならどんな手でも使う。

いい大人なんだ。自分のしたいことをするためのリスクとやらも知っているし、その反面でその対価を払うのだからその分楽しませてもらわないと割に合わない。

悪いやつに目をつけられたもんだなと思う反面、ちゃんと行為に見合った対価を与えようというのだからかまわないだろとも思う。

物事に善悪があるとすれば、それを決めるのは一体誰だ?


警察

教師

自分


少なくとも俺にはその誰かが決めた善悪とやらを最低限度には守るが、尊重しようという気はない。

あぁ、でもあれはだめだな。

最近ニュースで話題になっている「365×12」に夢中になりすぎて幼女を自分の家に誘拐したってやつ。

大人なら子どもは守らなくてはならない。

それに察するにその誘拐犯は、幼女になんの対価も払っていないのではないか。

それはルール違反だ。

この先、その幼女がどんなふうに成長していくのかを考えるとあまりにも貴重な時間を奪われたとしか思えない。親にしてもそんなことになるなんて思っていなかったんだろうな。

いや、待てよ、確かネットのうわさでは、幼女の父親はゲームの開発者で「もも」というキャラクターを自分の娘をモチーフに作ったとか言われていたか。

それならば、父親は多くの人を魅了して、その人たちの時間を奪った対価として娘の時間を奪われたのかもしれないな・・・どちらにしても娘からしたらいい迷惑だが。


チーンと音がする。

どうやら二人がエレベーターに乗ったようだ。

どれ、じゃあ俺も、ルールに反しない程度に楽しませていただこうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ