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やんでれさんのほしいもの♡  作者: 橘 莉桜
現実世界と境界線
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救出

ー本日、行方不明になっていた安東ももかちゃんが都内の一人暮らし男性のアパートで発見されました。男は、最近別のアパートから引っ越してきた模様ですが、一人暮らしの男性としては奇妙な点を近隣に住む住民に目撃されておりました。ももかちゃんに外傷はなく、病院での検査の後・・・ー


ある日、ももかは警察のお兄さんとお姉さんに

「もう、大丈夫だからね」

とお兄さんの部屋から出してもらいました。

テレビでは、たくさんももかのことが話されています。

おばあちゃんが、会いに来てくれて、たくさん泣いていたので、ももかはごめんなさいと思いました。

お祭りの帰り道で、いうことを聞かずに寄り道をしたももかがわるかったのです。

お兄さんは、こわいこともあったけど、ももかがわるいことをしていたからめってしてくれてたすけてくれたのだと思います。・・・たぶんです。

ちゃんと、ももかのことをお兄さんは今かんがえてみたら、しんぱいしてくれていました。

警察のお兄さんたちが来た時にお兄さんはすごく泣いていました。

「モモたんは、俺が付いていないと生きていけないんだ!」

と言っていて、たくさん、たくさんあばれていました。

・・・ごめんなさいと思いました。

モモたんはももかじゃないよってちゃんと言えなくってごめんなさい。ずっとこわがってしまってごめんなさい。・・・ちゃんとありがとうって言えなくてごめんなさい。

お兄さんはももかを良い子といってくださいましたが、ももかは良い子じゃありませんでした。


「おばあちゃん、お父さんは、まだお仕事いそがしいの?ももかね、お父さんにお兄さんのことでお話したいことがあるの。」


おばあちゃんは、お兄さんの話をするとかなしそうな、おこったような顔をするので、ももかはお父さんにも会いたいし、そしてお兄さんがこわいだけの人じゃないんだよってことをお話ししようと思っていました。それに、ずっとお父さんと会えなかったので、さみしかったのです。


「・・・ももかちゃん、お父さんと会いたいよね・・・ごめんね、ごめんね。」


「どうしたの?どうしてないているのおばあちゃん?ももかなにか悪いことした?」


「違うんだよ、ももかちゃんはなんにも悪くない・・・悪いのは全部、あのゲームで・・・おばあちゃんは嫌だったんだよ、あんなもの・・・よりにもよって自分の娘をデータにするなんて、もっとももかちゃんとの時間を大切にしてほしかったのに・・・」


お父さんのお仕事のことだってすぐにわかって、ももかはかなしくなりました。

だって、お父さんのお仕事はすごいんです。コンピューターのなかにもももかのお友達をつくってくれたんです。それに、それでたくさんの人たちがさみしくなくなったってももかは聞いていますから、おばあちゃんにもお父さんのお仕事を嫌いになってほしくないのです。


「・・・おばあちゃん、おばあちゃんが思っていること、ももか、お父さんにちゃんと話すから、そうしたらきっとおばあちゃんが安心できるようにお父さん、してくれるよ!・・・おばあちゃん?どうしてそんな顔・・・」


おばあちゃんは、まるで世界が終ってしまうのをみているような顔をしていて、ももかはとてもとても心配になりました。


「ももかちゃん・・・お父さんは・・・ね・・・。」


「おばあちゃん、お父さんがどうかしたの?」


「・・・お父さんは、ね・・・研究所で・・・」


「研究所で?」


おばあちゃんはそのまま黙り込んでしまいました。優しい人たちがたくさんいた研究所で、お父さんがどうしたんだろう?

それとも・・・やっぱりお父さんお仕事が忙しくて、ももかのこと心配じゃないのかな・・・それはいやだな・・・。ももかがご飯作って、研究所に持っていってあげたら喜ぶかな?


「・・・研究所で事故にあって・・・死んだんだよ。」


「え・・・おばあちゃん、なに言ってるの?きっとつかれているんだよ、ずっとももかについていて眠ってなかったから、だからよくない夢を見たんだよ。お父さんが死んだなんて、そんなのあるわけないもん!」


「すぐにはわからないよね・・・ごめんね・・・ももかちゃん、おばあちゃんがこれからはずっと守ってあげるから・・・ごめんね、ごめんね。」


「おばあちゃん、いみがわからないよ、お父さんにあわせてよ、ももか元気だよって、伝えなきゃ!」


「・・・お父さんなら、ずっと隣のお部屋にいるんだよ・・・」


「隣のお部屋?」


このお部屋で検査を受けたりする間、あけちゃいけないといわれた扉。

そうか、やっぱりおとうさん、ももかのこと心配して、となりのお部屋で見守っていてくれたんだ!

ももかはとてもうれしくなって、いそいでその扉をあけました。


そうです・・・やっぱりももかは悪い子だったのです。

開けてはいけないといわれていたのに、開けてしまったのですから。


「お父さん、ただいまです、あのね、あの・・・お父さん?」


そこにあった(・・・)のはつぎはぎのお父さんでした。

あちこちつぎはぎです。

まるで絵本で読んだおばけみたいに・・・お父さんが、お父さんが・・・!!


「どう・・・して?どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてーーー!!お父さん、お父さん!!」


「あぁ、ももかちゃん触っちゃだめだよ!」


「あ・・・あ・・・あ・・・お父さん・・・」


おばあちゃんのコエヲキカズニ、ももかはお父さんの頭に抱き着きました・・・お父さんの頭はコロンと首から外れて・・・ももかの腕の中におさまりました。

今、お父さんとももかは見つめあっています。

お父さんは何にもしゃべらないけれど、きっとももかの声は聞いてくれていて、モモカノオハナシヲキクタメニ、キキヤスイヨウニ、モモカノウデノナカニキテクレタノダトオモイマス。

ももかは、床に座ります。

お父さんにお兄さんの話をして、いっしょにありがとうを言いに行ってもらわなくちゃなりませんから。


「・・・あのね、お父さん・・・」


だれも、ももかとお父さんのあいだには入れません。

だから、ゆっくりたくさんのお話を聞いてもらおうって思います。


「大好き・・・お父さん。」


だから、ももかのお話し、聞いていてね?




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