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やんでれさんのほしいもの♡  作者: 橘 莉桜
現実世界と境界線
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妹キャラ 歩ちゃん

弘樹お兄ちゃんは・・・ひどいです。

あゆむは、お兄ちゃんの身体を本当に、本当に心配していただけなのに・・・あんなに怒らなくてもいいのに。それに、なにより、歩をこんな暗い部屋に閉じ込めてしまうなんて、やっぱりちょっとひどいです。

でも、弘樹お兄ちゃんのことが嫌いなわけではなくて、早く一緒にもっといろんなことを体験して教えて欲しかったのです。でも、他のお姉ちゃんたちがうまくできなかったように歩もお兄ちゃんを攻略できませんでした。これで私たち12人全員がお兄ちゃんから「ぺけ」されちゃったんだけど・・・どうするのかな?こんなケース初めてです。


戸惑っていたら、知らない女の子が歩たちの中を書き換えていってしまったの。

ふわふわな髪の毛をした、優しそうな女の子なのに、歩たちを見る目がすごく怖くて、弘樹お兄ちゃんに向ける瞳はとてもキレイに見えたのに、特に歩は、中身をみんな見られてしまったような気分になって、なんにもできなくて・・・頭がぐるんぐるんしてしまって、ぴかぴかして、気がついたらこんなところにいるのです。

微かに聞こえたのは


「柊 ゆゆ」


と名乗っていた声・・・柊 ゆゆ??

ひいらぎ ゆゆ・・・ゆーゆー??ゆうゆぅ・・・?なんだっけ、すごく大事なことがあったような。なにかがひっかかります。なんだろう。パパさんたちに聞いたら教えてくれるかな?

パパさん、パパさん教えてください。

でも、でも、困ったことは他にもあって、ここに入ってから他のお姉ちゃんたちと連絡が取れないし、パパさんたちともお話できない・・・歩たちのメインコンピュータにもアクセスできないんです。

だからこうやって、書いたことなかったけど、日記というものを書いてみることにしました。もしかしたら、歩は壊れてしまったのかもしれないけど、誰かが歩の中を見たときにお兄ちゃんに起こっている事件に気がついてくれるかもしれないから。

・・・このままは、怖いなって。

おやくにたてないままバイバイはイヤだなぁ。

せっかく、歩はパパさんたちのおかげで、たくさんのものを見れて、たくさんの人と触れ合えて、たくさん楽しいや悲しい、寂しいとか学んだのに、なんにもお返しできないままずっとここにいるのはイヤだなぁ。

きっと他の歩たちは、他のお兄ちゃんたちとたくさんのことを協力しながら今もしているんだと思うけど・・・このわたしはずっとここで、誰にも気がついてもらえないまま一人でいないといけないのですか?

歩、そんなのイヤです。

お願いします。戻れたら、もっともっと、お兄ちゃんのお役にたてるように頑張りますから、歩をもとの場所に戻してください。

ここは、暗くて、静かで、なんにもないの、なんにも感じないの。

ずっとここにいたら、本当に歩は壊れてしまいます。だんだん、歩がなんのために作られたのか、なんのために、みんなのところにいくのか分からなくなってきてしまって・・・それでなんだか不安で仕方がなくなってきてしまいました。

歩が歩じゃなくなってしまうのは、歩にとっても怖いことです。

だから、歩の意味を下さい。

パパさん、歩、ここにいるんですよ。


「歩ちゃん…気分はどぉ?」


「ひぇ!?」


「やだなぁ…そんなお化けを見たみたいな声出さないでよ?お姉ちゃん傷ついちゃうなぁ…」


急に私の前に現れたのは…パパさんじゃなくて、ゆゆって名乗っていた女の子でした。お姉ちゃんってどういうことだろう?ほのかお姉ちゃんならなにか知っているのかな?


「あの…あなたは…それから…えと、どうやったらここから_帰れるですか?」


すると、ゆゆさんはすごくにっこりとして…私の顔の前にちゃんと顔が向かい合うように座り込んでくれました。歩は、ほっとしました。きっと勘違いだったのです、こんなに素敵に笑えるかたが怖いかたのはずがないのです。


「歩ちゃんはね、いらない子なの…だから、ここからは帰れない…ううん、帰らなくていいんだよ。」


「えっ…」


「…そんなに間抜けな顔しないでよ…余計に救いがなくなっちゃうから。歩ちゃんは弘樹のこと、苦しめたでしょ?そんな出来損ないはいらないの。ううん…歩ちゃんだけじゃないね、他のお姉ちゃんたちも…弘樹を傷つけたから同罪だ…いらない子なのは私じゃなくて、あなたたちなの。」


「あの…意味が…分からないです…でも、歩たちは…弘樹お兄ちゃんを苦しめようとした訳じゃ」


「分かってないなぁ…結果として…弘樹、苦しんでたでしょ?歩ちゃんのパパはそんな風にしろって教えたのかなぁ?」


「違います!パパさんは、パパさんは、みんなのお役にたちなさいって、笑顔にしなさいって…」


「だーかーら、失敗作なんだって、分かった?言いつけを守れない子はこの闇の中にいるのがピッタリなの。」


「でもでも、弘樹お兄ちゃんを幸せにー」


「弘樹の名前を呼ぶな!」


怒鳴り声…体が縮んでしまうような。


「汚らわしい…弘樹の名前を呼んでいいのは私だけなのに…なに勘違いしてるの?不潔…信じられない、すぐに消毒しなきゃ…弘樹、弘樹…ゆゆの弘樹、ゆゆだけの弘樹…弘樹…弘樹…大丈夫、ゆゆが守るよ…」


怖い。

ぶつぶつと呪いのように言葉を発する姿に、動けなくなってしまう。

何をいっているのかすら、聞き取れないのです…とにかく逃げなくちゃいけない!歩のなかのナニかがそう告げています。


「歩ちゃん…ナニシテイルノ?だめだよ…お話はちゃんと聞かないと…パパに教わらなかったのかな?」


「あ…ぁ、離して…離してくださいです…」


捕まれた腕がぐぃっと引き寄せられます。

ぎゅっと…気がつくと抱き締められていました…。


「私が…良い子にしてあげるから、安心して…」


「あ…あ…歩のなか…」


「…二度と、弘樹のことなんて思い出させない。あなたはここにズットイレバイイ…この暗闇のなかにズット…私の変わりに…ズット…囚われろ」


「や、やめ…やめ…や、や、や、や…」


…危なすぎた

…あの子の属性は危なすぎたんだ…

…このまま、おまえたちと一緒には置いておけないからな…

…ゆゆのシナリオは、破棄することになったよ。多量すぎる愛情はナニが起こるか分からないからね…


…ヤンデレ属性は封印だ…


パパさん…パパさんの声が…聞こえてきて…

ナニか大切なことを歩は思い出しました。それでも、もうそれを…考えることなんてできない。

助けて…


「オマエナンカ、イラナイ…キエテシマエ」


「あーーー‼」


それで、歩はワカラナクナッタ。

ワカラナクナッタ…アユミハイラナイ…イラナイ…コ…

アユミハソトニデテハイケナイカラ…ココガ…ココダケガ…アユミノイバショ…


「あは…あははははははは!」

「大丈夫、あなたのこと、私は、覚えておいてあげるからね、安心して…消えていて」


女の子の笑い声がキコエテクル…ダレダッケ…?

ダレダッケ…デス…

ナンダカ…ツカレタ…


…デス…

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