交番のお客さん
6
交番をのぞいたら、お父さんは冬じたくでいそがしそうに
していた。
「こんにちは。」
外では交番のおまわりさんはぼくのお父さんだと言うのは
ないしょになっているから、しかたない。
「おかえりなさい。何かあったのかい?」
お父さんもにこにこしながら、よそ行きの顔と声でぼくに話しかけた。
「あ、今日で学校が終わったから、なんとなく。」
交番の中にはほとんど入ったことがないから、めずらしくて
キョロキョロしていた。雪よけのおおいのためのささを
うちのまわりから最近少しずつもってきてたんだ。
「なにかお手伝いしましょうか?」
やることもなかったし、なんとなく言ってみた。
お父さんのお手伝いなら、よろこんでできる。
「ありがとう。大丈夫だよ。学校が明日からお休みだから、
ここももうじきおしまいだよ。いま、その準備をしているんだ。
おうちでもお母さんのお手伝いしてあげてね。」
おまわりさんはにっこり笑ってぼくに言った。
「こんにちは。先客ですか?」
小さなお客さんが交番に入ってきた。
「いや、大丈夫です。ごぶさたしました。」
お父さんは片付けをしていた手を止めて、お客さんに近寄った。