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もうひとつのひみつ
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山の学校はほとんどの友達が冬眠するから、霜柱がおりる頃には長い冬休みにはいる。
ぼくはとくべつに眠くはならないから、冬の間は遊ぶ友達もいなくなってちょっとさびしい。友達のかわりに一緒にいてくれるのは、いつもはいそがしいお父さん。
交番には冬になるとたまにしか行かない。
みんな眠っているから、困ることがおきないんだ。
学校の近くにある交番にはあまりぽくは行かない。
ぼくのお父さんがおまわりさんっていうことはないしょだから。
みんなもぼくとお父さんを見ても親子だって気づかない。
交番にいるお父さんは、泥の粉をからだじゅうにかけて、こげちゃいろしているから。しろくろのぼくとは見た目がちがう。
学校の先生はいつもみんなに教えている。
「この山には、熊という、優しくて強いおまわりさんがいてくれるから、みんなが仲良く暮らせるんです。交番の前を通るときは、『ありがとうございます』って必ず言ってくださいね。」
みんなは本当の熊のこわさを知らない。
パンダのお父さんは優しくて強いおまわりさんなんだ。
ぼくのじまんのお父さんだけど、ひみつなんだ。