自己紹介
「うちらってさー。なんで仲ようなったんやった?」
昼休み。カズミの机で、弁当をつつくヒロコが言った。
「いきなりやな。んーそやな。私も覚えてへんわ」
そう言って、カズミも卵焼きを口に入れた。黙ってもぐもぐする二人。
「思い出した!」
「汚なっ!」
口からご飯を飛ばして叫んだヒロコ。
机に落ちた米粒を、でこピンではじくカズミ。
「飲み込んでから、しゃべれや!」
ヒロコの額にも、でこピンを入れた。
「痛ったー! 強すぎるわー」
おでこを押えて、ヒロコは涙目になる。
「あ! もー! 今ので忘れてしもたやんかー!」
両手のこぶしで、ヒロコはどんっと机を叩く。
睨まれたカズミは、
「知らんがな。どうでもええし」
と言って、ご飯を口に運ぶ。
ヒロコは椅子にもたれかかって、天井を仰ぐ。
「ひどいわー。せっかくの思い出やのにー」
「思い出もええけど、今こうしてヒロコとおんのは事実やねんから、それでええやん」
カズミは、さらっと言った。済ました顔で、最後の一口を食べた。
ヒロコは赤くなって、目の前の友人をまじまじと見つめた。
「……ようそんな恥ずかしいこと言えんなー。しかも堂々と」
目が合う二人。ようやく自分が言ったことを認識したのか、カズミの顔が真っ赤に燃える。
「うっさいアホ!」
そう言って、ヒロコの弁当に箸を伸ばした。
「あー! うちのから揚げ! 楽しみに置いとったのに!」
好物を取られてしまったヒロコは、恥ずかしいやつが友人で、嬉しく思った。
ヒロコ「って全然、自己紹介してへんやん!」
カズミ「どうもカズミです」
ヒロコ「あ! ずるいわ! うち、ヒロコなー! よろしくー」
カズミ「よろしくお願いします」