提出書類1
「検案事項はなくなったということで君の世界について書いていこうか」
いや、無くなってないから。やっぱり書くのやめようかな?
「でも書かないとずっとこのままだよ?」
お前が言うのか・・・ あれ?心読まれた?
「神だからね~」
(もういいです、諦めます。
それであんたはこの世界のことをどれくらい知っているのですか?)
「最後に来たときは大きな恐慌が起こって失業者が町にあふれてた時だね~」
(20年以上続いた最悪な時代ですね。その打開策はご存じで?)
「まだ机上の空論状態のなら知ってる。
学業の成績を使って国が職を管理するとか書いてたな」
(そうです。現在はこれを国ではなくコンピュータが管理するようになりました。
国を治める立場の人たちも同じように管理されるようになってしまったのは当時の誤算だったのでしょう。)
「つまり君の国はコンピュータがトップで人が使われていると」
(そうですね。今の先生もコンピュータが設定した授業内容を行っています。
そしてこの学校を卒業すると同時に生徒は成績によって決められた職に就くことになります)
「良いことじゃないか。当時は生きるために働こうにも働けない時代だったんだから政治家の思った通り失業者のいない国じゃないか」
(失業者だけを考えれば素晴らしい国なのでしょう。
その代り選択の自由はありません。
生徒はどんなに望んでもなれるものは決まっている世界なのだから)
「そう?成績次第ならなりたい職の成績を狙えば良いだけじゃないか。」
(なれる職は機械のメンテナンスに関することだけでもそう言えますか?
まあ、神なら言えるのでしょうが)
「え?一つしかないのに成績次第とはどういうこと?」
(食べ物も服も機械が作ります。成績では働く場所を指定されるのです。
できが悪い人は危険な所へ、優秀な人は安全な所。
できの悪い人はいくらでもいますが優秀な人はすくないのです。)
「なら一番優れた人は楽ができるだろうね」
(いえ、国で上位を取れるレベルの人だとまた職は変わります。)
「1つじゃなかったの?」
(これを職と呼べるとは思えませんので1つです。
この職は量子コンピュータの一部となることです。)
「確かに職じゃなさそうだね。でもみんな勉強してるのは何故?
それを知ってたら必死にはならないと思うけど」
(知ってる人はいませんよ。トップ10の人達はみんな隔離されてます。
安否不明ですが噂では
「自分たちよりずっと素晴らしい生活をしているからこっちのことなんかどうでもいいと思われている」
ことになってますね)
「なんで君は知っているんだい?」
(私は量子コンピュータになった両親から人工授精で作られたからですよ。
支配しているコンピュータが更なる性能アップを図るために優秀な遺伝子を合わせてさらに優秀なパーツを作ろうとして生まれたのですよ。)
「ふ~ん。それでもなんでここにいるのかと知っている理由じゃないよね?」
(私は馬鹿を演じましたのでね。同じような子は何人もいてその中でも優劣をつけられ、
劣等と認定されたのでここに送られたのですよ。
いろいろ知ったのは前の施設でいろいろいじってたら見つけたファイルに書いてあったんですよ。)
「なるほどね~。情勢は理解したよ。ここも安定しちゃった世界だと判断できそうだね。残念だ」
(は?なんでだ。私たちはこの国が外国に狙われているからこんな風に自由もない国を我慢して維持しているというのに安定とはどういうことだ?)
「何でも何も、この世界にある国はどこも同じ状態だからだよ。
この世界どこを見てもコンピュータに支配された国しかない。
いや、おそらくは支配しているコンピュータはどこも一緒で世界は1つのコンピュータによって動かされているんだろうね」
(じゃあ、狙われているとかは)
「トップの人達と一緒でコンピュータが流してるデマだね。
暴動を起こさせないためには外敵を作るのが一番楽だからね。
それが自作自演ならもっと楽だ。」
「じゃあこれを知った君がどうするか気にはなるけど結果が出たころにまた他の人の前に私は現れるだろうね。
情報提供感謝」
この一文を最後に教科書はもとに戻った。だが私には授業を受ける気力はなかった。
世界が1つのコンピュータに支配されたのならこの国で暴動を起こしても周りの国によって潰されるだけだ。
最悪国自体がなくなるだろう。怒りをぶつける先はあってもその後は何もない。
どうやら私たちは知るのが遅すぎたようだ。
こんな感じで進めてみようとは思っているが、内容はいろいろ考え中