被害者1号
数学の授業中の出来事
私は授業中外を見ていることが多い。たいていの授業は面白くなく、内容も知っていることばかりだからだ。
でもこの授業だけは先生は説明が終わると生徒に問題を解かせる。問題を知るために私は教科書を開くのだ。答えられないと小言が長い時間続くからわずらわしい。
私は開いておいたページに目を通そうとした。ページは白紙だった。
いや、違う。1文だけ文字が、
「何か書け」
絶句しました。まあ、授業中なので騒ぐ方が迷惑ですが。
すると文が浮かんできます。
「見てる?見てるなら近頃の出来事をここに書きたまえ。さあ」
なんなのでしょうか。わけがわかりません。
「おや?無視されてますか?神を無視するとはいい度胸ですね。」
神?何書ってんですかねこの紙は。とはいえ現状何もしてないのに文字が浮かび上がっています。ついでに教科書が見れません。このままでは小言コースまっしぐらです。
文句書くことにします。
(教科書を元に戻してください。早急に)
「お、やっと反応あったな。さあ君の周りの出来事を書け~~」
意志の疎通が出来るようです。要望は無視されましたが。
(授業中です。さっさと戻してください)
「まずは君たちの国がどんな所かから始めよう。さあどうぞ」
こっちの話は無視のようです。
(面白くもない授業を受けないと生きていけない国です。さあ元に戻しなさい)
「説明短すぎ~ もっといろいろ説明してよ~!」
話は聞いてるようです。自分に都合がいいところだけ。
やばい、先生見回り始めた。これがあるから嫌なんだよこの授業。
「お~い、続き、続き」
(うるさい!見回り来たから今すぐ戻せ!お前は困らないだろうが私は困るんだ)
うわ、先生隣来た。小言確定か。
「何時になく熱心ですね。いつもこうなら良いのですが」
は?何言ってるのでしょうこの教員。白紙の教科書に文字書き込む私を見て違和感がない?
どうなってるんだこれ。
「周りのことは気にしないでいいよ、書くことに集中してもらうために細工してあるから」
いらんことしてくれる神がいたものです。
仕方ない適当に書いて帰ってもらうとしましょう