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私と彼-セイトシ-
彼の血液で
真っ赤に染まった
私の手が
どくん、どくんと
脈を打っていた。
彼がくれた
真っ白なワンピースが
彼の血液で真っ赤になった。
頬についた
彼の血液が
時間が経つごとに
冷たくなっていった。
ナイフから滴る
彼の血液が
だんだんと
赭黒く変色していった。
『気持ちいい』
そう思った。
初めて
生きてる気がした。
私が生きてる。
いま彼から解放され
私生きてる……!
でも
不思議と
嬉しさはなかった。
むしろ
寂しさだけが残った。
何時間
彼の死体を
見下していたのだろう。
わからない。
だけど
私のワンピースの血も
頬についた血も
ナイフから滴る血も
固まり
抱き起こした彼は
冷たくなっていた。