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あかい いと・その後
目覚めたりこは、いつものように我の口付けを両の頬に受けた後。
「きゃぁっ!? ななななにこれっ、血だらけじゃない!」
身体を起こし、繋いだ手に視線を移動し。
数箇所赤くなってしまった寝具を見て、声をあげた。
「ハクちゃん、どこか怪我しちゃったの!? 昨夜、何があったの!?」
はにかんだ笑みを浮かべていたりこの顔は一変し、険しいものになった。
「……何も無い」
「何も!? ハク……なんでそんな嘘をつくの?」
険しい表情は、悲しみの色を濃くした。
「こんなに血の後があちこちにあるのに……すごい量なのに」
我を見る目には、徐々に涙が……。
「な、泣くなりこ」
まずいな。
「我は怪我などしておらぬ。これは、この血はだなっ」
左の親指を少々食い千切ったなどと、とても言えん。
「りこ、これはっ」
どうする、我よ!?
「これは?」
「これはっ……鼻血なのだ!!」
「はな……ぢ?」
その日。
竜族は鼻血一度につきどの程度の血液を噴くものなのか、りこはカイユに真剣な顔で質問していた。