本日も帝都は平和です☆
*HPの拍手小話から移動しました。
「セレスティス殿はいらっしゃいますか?」
竜騎士団本部に契約術士クロムウェルが現れた。
もちろん、徒歩でだけど。
この筋肉だるまは空間系の術式が苦手だからね。
「いるよ。セレスティスさ~ん、契約術士が用があるって!」
一番奥に置かれた机で事務処理をしているセレスティスさんに、声をかけた。
教えなくって分かってるだろけど、一応ね。
だってクロムウェルの存在を認知してるくせに、わざと無視してる。
セレスティスさんはこの人間を嫌ってる。
こいつに触るくらいなら、ゴッキーを素手で掴む方を選ぶほどだ。
「そこで待たせといて、パスハリス。この書類の確認が終わったら、それの相手をするから」
セレスティスさんがしていることは団長がすべきことだけど、カイユさんはデスクワーク嫌いだからって……セレスティスさんはカイユさんに甘い、甘すぎる!
僕達には鬼教官っていうか、はっきり言って鬼畜なクセに!!
「は~い! と、いうわけだからそこでつっ立っててね、クロムウェル」
「はい、放置プレイも嫌いではないのでかまいません」
「ひぃいいいい~っ! 真顔で言うな、この変態術士!!」
悪寒とともに思わず叫んじゃった僕に。
「パス、放置プレイってなに?」
セレスティスさんは書類から顔をあげ、首をかしげつつ訊いた。
「え? セレスティスさん?」
「ねぇ、放置プレイってなに?」
王子様フェイスに、からかいの色は無い。
この人って、こういうところがまさに『王子様』っていうか。
詳しいことは知らないけど。
先代陛下が手元に置いて帝都から出さずに大事に大事に育てたみたいで、お育ちが良いっていうか……こういうネタに疎いところがあるんだよね~。
「え~っと、僕じゃうまく説明できる自信無いから、こいつに教えてもらってください! じゃ、僕はオフ誘ってランチしてきま~っす!!」
ダッシュでその場を逃げ出した僕がオフと合流するために、鍛錬場へと向かっていると。
背後からものすごい破壊音がした。
僕は振り返らなかった。
ま、いつものことだしね!
「はぁ~、今日も平和だなぁ~!」