スキッテルの店にて
「ここをこうして外して、それをもどすんです」
「………」
竜帝さん公認(……なによ、それ!くすん)のハクちゃんの愛人らしい皇女様が去った後、スキッテルさんがハクちゃんにネックレスの付け方をレッスンしてくれた。
見るからに落ち込んでいる私を見かねて、その場の空気を変えようとしてくれたんだと思う。
「あなた、不器用ですね」
「…………」
「おっ! 出来たじゃないですか!」
「り、りこ! 我はできたのだ! さあ、我にその首を差し出すが良い!」
「首を出す? ……ははっ、犬猫じゃあるまいし!」
「これは首用の装飾品であろう?」
「へ? ……はぁ、まあそうですけど、そういう意味じゃなくてですね。う~ん、情緒っていうかムードっていうか……」
「情緒とムード、とな? 首輪に情緒とムード……ふむ、我はそのような性嗜好は持っておらぬ」
「はぁ? ま、そこは追求したくないんで流します。それは首輪じゃなくて、ネックレスです」
「これを首輪と言ったのは我ではない。お前なのだ」
「は? え~っと……」
スキッテルさんの視線が救いを求めるように私へと……うう、すみません。
見た目魔王様なハクちゃんですが、中身は超天然なんです!
「ハクちゃん、どうかな?」
手鏡に映る私の胸元には、真珠のようなかけらで作られたネックレス。
ハクちゃんの顔が映るように、手鏡の角度を変えながら訊いてみた。
「……うむ」
鏡の中で、金の目が細まった。
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実は、本文中では最終的にカットした部分です。
こうしてハクはりこにネックレスをしてあげられるようになりました。
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