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セレスティスとバイロイト
*HPの拍手小話を移動したものです。
バイロイトが、ついにつがいを見つけた。
相手はなんと、成竜になったばかりの……どうみても少女な雌だった。
バイロイトは街で見かけた彼女にその場で即求婚し、一ヶ月かけて妊娠させた。
蜜月期が終わり、元の穏やかな『普通の雄』に戻ったバイロイトに訊いてみた。
「ねぇ、バイロイト。質問があるんだけど」
「なんだい?」
「前に言ってた‘好み’って、カモフラージュ?」
にっこり笑って、バイロイトは答えた。
「……それを君に言われたくないです。王子様」
特に、笑うと目元が似ていると思う。
年を重ね、バイロイトはあの人に似てきた。
「うん、そう。僕は“王子様”なんだ」
今の僕は“王子様”であり、夫であり父親でもある。
だから、大丈夫。
笑顔で、言える。
「おめでとう、お兄」
あなたに。
心からの、祝福を。