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おそろい
「……」
眠る貴女の身体に手を伸ばした。
握った両手を、そっと置く。
鼓動を刻む、その場所に。
「………」
握りこんだ手をゆっくりと開き。
四本の指を押し当てる。
そっと、そっと。
「……小川のようでもあり、泉のようでもあるな」
手のひらに感じるのは。
湧いて流れるゆく命。
「…………りこ」
その流れに吸い寄せられるように顔をつけると、聞こえてくるそれに。
ふと、確かめたくなった。
左手は貴女のあたたかな胸に。
右手は我の冷たい胸に。
「あぁ……我とりこは」
身体は違えど重なる鼓動に、想いはつのる。
「おそろい、なのだ」
我の『世界』は生きている。
「同じ、だな」
貴女のいるこの世界で。
我は生きたい。
ずっと。
共に、生きよう。
「……おはよう、我のりこ」
今も、未来も。
貴女と共に。
*この小話はブログからの転載です。