婚約破棄された伯爵令嬢は、護衛騎士の一途な溺愛で救われます:シリーズ
王宮で働くことになりましたが、義姉は王太子妃で夫は嫉妬深い護衛騎士です
シリーズ編の続編なので、初めての人は「N6378MQ」こちらから先に見ると、より面白いと思います!
こちらは婚約破棄です!
「今日からこちらで働くリリアナ・アルヴィスです!よろしくお願いします。王太子妃様」
結婚後、リリアナのもとへ幾度となく訪れたルイスからはなした方がよいだろうと考えたリックとアルヴィス伯爵は、リックの父ハールツェ侯爵のつてをたどり、王太子妃に雇ってもらうことにしたのだ。
もちろん、リックとリリアナ夫婦で一緒にである。
「よろしくお願いするわね、リックにリリアナ!私はアイヴィーよ。正式な名前はアイヴィー・ハールツェだけれどね?」
アイヴィーの名前を聞いた瞬間、リリアナはハッとした。
リックは目を合わせようともしない。
リリアナは内心こう思っていた
(あ!!!私としたことが失念していたわ…私の義理の姉じゃないの!王太子妃様は。だから雇っていただけたのね......)
「私の可愛い異母弟に義妹?なんで、前みたいに可愛く『ねぇさま』と呼んでくれないのかしら?まぁ、私も25だけれど兄弟だから『お姉さま』よね?」
アイヴィーは腕を組み、椅子に座りながら、リックを見上げる。
普通騎士は膝をつかなくてはならないはずだが、ついていないところを見るとよっぽど仲が良かったのだろう。
「結婚式にも来ず、何年も遠目にした見たことのない貴方を姉と呼ぶ必要はありませんし、そもそも『王族』と『伯爵家の婿養子』では立場が違いすぎます。おいそれと呼べません!それに、僕は庶子で貴方は嫡子じゃないですか?それにあの女の娘だ......」
リックは正論をアイヴィーに突き詰めた。
そして、わずかに顔が曇る。
アイヴィーは顔が引きつっている。
その横でリリアナは二人を交互に見ながら慌てふためいている。
「なによ?いいじゃない!人がいないところくらい......それに、母は関係ないわよ。これは兄弟の問題であって親との関係はないもの!そうでしょう?リック!あ、わかったわ......リック貴方、ちょっとこちらへいらっしゃい!リリアナ、ごめんなさいね!」
アイヴィーはそのままリックを部屋の端へと連れ去った。
ここは王太子妃の部屋。つまり、とてつもない広さがあるのだ。
そのため、端と端ならば会話もあまり聞こえない。
「いえいえ!とんでもありません」
リリアナは首を横に振る。
「リック、貴方リリアナのメイド服姿をほかの人に見てほしくないのじゃないかしら?だってあれはあまりにも可愛すぎるもの......まぁ、我が弟ながらイケメンだとは思うわよ?その騎士の正装と相まみえてね?違うかしら?」
アイヴィーはリックに言った。
その瞳はリックと同じ琥珀色。
「なんでわかるんですか......でも、貴方のところが安全だし最善だと思ったんです。しかも、『男の前に姿をさらすな』みたいなこと言ったらひかれて、嫌われるかもしれないじゃありませんか!せっかく仲良くなったのに、こんなところで嫌われたくないんだ!!!」
リックは顔を真っ赤にしながら、大声で叫んだ。
「えぇ????」
リリアナはリックの発言を聞き、目が点になっている。
「あちゃ~」
アイヴィーは額に片手を当て、首を横に振っている。
その顔はあきれている。
「あぁぁぁ!いや、違うんだ!り、リリアナ!!!!」
リックは、慌ててリリアナのもとへ駆け寄る。
アイヴィーも後ろから速足でリリアナのもとへ向かう。
「すまない、リリアナ......この恋愛に疎い愚弟のせいで、嫌な思いをしたのならば姉である私が謝ろう......」
アイヴィーは慌てふためき何もできない弟を見るに見かねて、声をかける。
「ふふ、いえ。そんなことないのですよ?王太子妃様。だって、リックがこんなにも素の姿を見せ、本心を包み隠さずに言える相手がいらっしゃったことが嬉しいのです。しかし、リック?男の人の前に姿をさらさないのは無理だと思いますよ?王城ですしね、ここ」
リリアナは、ほほを赤らめ片手で口元を抑えながら言う。
その姿はとっても愛らしく、リックの庇護欲をそそった。
リリアナのあまりにも美しすぎるその姿を守らなくてはならないと思ったから。
「リック......よかったな!目標ができたのだろう?」
アイヴィーは何でもお見通しだ。
「うるさいなぁ~」
リックは、照れ隠しに真正面にいるリリアナでも右にいるアイヴィーでもなく左を向いた。
「あぁ、そうだ!リリアナ?ちょっとお願いがあってね?私のことは『お姉さま』と呼んでほしいんだよ!私は兄が2人そして、弟がこのリックでね。妹が欲しかったんだ!」
アイヴィーは手を胸の前で小さく叩き、リリアナに言った。
「えっと、リックが……」
リリアナは、先ほどリックが姉と呼ぶ必要はないと言ったため、チラッと目の前のリックを見る。
「あぁ~!!!ほかでもない愛しの妻のためだ!さすがに、『お姉さま』とは呼びたくないから、『姉上』でいいか?」
リックは照れながらも、そう言った。
照れ隠しか、口元を片手で覆う。
これは、リックの照れ隠しの時に使う癖だ。
「なら、私も『姉上』と呼ばせていただきますわ!」
リリアナは、手を後ろで組み、リックとアイヴィーに向かって言う。
メイド服とその笑顔から放たれる言葉は強烈で、ハールツェ姉弟の胸を貫いた。
「ぐっ~っっ!!!」
「あぁぁぁ~!!!可愛すぎるわ!これが妹!!!」
二人は、瞬時に背後を向き、リリアナに破顔した顔を見られまいと行動した。
「リック、君は幸せものだな……私は典型的な政治的結婚だしな。お前たちのような恋愛結婚じゃない!まぁ、『愛する気はない』と言われて淡々と公務をこなすだけの関係だよ……」
アイヴィーは静かに言った。
実は、アイヴィーは小さい時から恋愛結婚にあこがれていたのだ。
高位貴族の子女は皆政略結婚が当たり前の世の中。
恋愛結婚はそれほどまでに珍しいものなのだ。
『姉上……』
リリアナとリックは互いに顔を見合わせた。
「姉上!今度、一緒にお茶会をしませんか?とりあえず3人で」
リックはアイヴィーを誘った。
この国では、親しい相手とのプライベートな会話の場をお茶会と言う。
「本当か!えぇ、ぜひ!ただ、護衛はどうするか」
アイヴィーは振り返り、笑った。
しかし、その眼には涙が浮かんでいた。
急に不安なことを語り始める。
「姉上!僕を誰だと思っているんですか?僕は、リリアナを守るために訓練を日々していたら、結構強くなったんですよ?国でも剣技だけなら5本の指には入ると思います!」
リックは笑顔で自信満々に言う。
しかし、リックのこの自信は本物である。
「あらあら、リックたらもぅ!!」
リリアナがリックの発言に嬉しそうにする。
「見せつけてくれるなぁ~」
アイヴィーは二人の様子を見て、つぶやいた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
今後、シリーズとして展開していくつもりでいます。
今後とも本作品をよろしくお願いします!
もう、次のお話の準備してます!
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