再会の予兆
夜明け前の空は、薄く白んでいた。
湿った土の匂い。
血と鉄の残り香。
調査依頼は、終盤に入っている。
密輸の流れ。
関わった連中。
辿るべき線は、もう一本しか残っていない。
レオは、剣を拭いながら息を吐いた。
深く。
ゆっくり。
……終わる。
この仕事が終われば。
ようやく、戻れる。
頭に浮かぶのは、ひとりの顔だ。
メイ。
別れ際。
宿で、はっきり言った。
「お前は、街に残れ。
ここは、もう安全圏だ」
無茶をするな。
森に戻るな。
ひとりで動くな。
そういう意味だった。
あいつは、分かっているようで、
肝心なところが抜けている。
レオは、口元を緩めた。
「……待ってるだろ」
街にいるはずだ。
そう、確信している。
あいつは賢い。
状況判断もできる。
だが。
放っておくと、
「なんとかなる」で突っ走る。
俺がいないと。
すぐ、死にそうになる。
思い出して、
ふっと笑った。
崖で。
森で。
ボロボロになりながら、
それでも前に進いていた姿。
……ああ。
首、長くして待ってるに違いない。
三ヶ月。
長いようで、短い。
短いようで、長い。
その間に、
何が起きているかなんて、
考えもしなかった。
街で。
ベッドで。
安全な場所で。
俺を待っている。
ただ、それだけ。
そう、信じている。
剣を鞘に納める。
肩を回す。
「……もう少しだ」
最後の確認。
最後の始末。
それが終われば、
まっすぐ街へ向かう。
はやく会いたい。
メイ。
その時。
彼女の隣に、
誰が立っているかなんて。
この時のレオは、
まだ、知らなかった。
レオ




