元奴隷から愛される異世界生活。
【 光り輝く二柱 】
――眩しい。
眩しすぎて、目が開けられない。
いや、正確には。
目を開けるという概念そのものが、意味をなしていない。
ここには、空も地面も時間もなく、
あるのは光と、声と、やたら楽しそうなテンションだけだ。
『イェーイ!』
『愛されまくってるぅ!』
声が、同時に弾けた。
『見た? あれ』
『見た見た! 最初、詰みかけてたのにね』
『かけてたどころじゃないよ? ほぼ詰み』
『でも、ちゃんと生き残った』
『というか、詰んだまま突き抜けた』
二柱は笑う。
下界を覗けば――
光る女神もどきが、胃を押さえながらポーションを飲んでいる。
『ほら、今もやってる』
『ポーション作ってる』
『胃薬だよね、あれ』
『愛されすぎ副作用』
くすくすと、楽しそうに。
『じゃあ、いくよ?』
『せーの!』
声を揃える。
『元奴隷からー』
『愛されるー』
『『異世界生活』』
ぱん、と祝福の音。
『タイトル回収〜!』
『おめでとー!』
でも、片方が首を傾げた。
『……ところでさ』
『うん?』
『「元奴隷」って、誰のことだと思う?』
少し、間。
『そりゃ、ルイでしょ』
『元第三王子、敗戦国、性奴隷』
『救われて、癒されて、溺愛王になりました』
もう片方が、指を振る。
『はーい、半分正解』
『え?』
視線が、さらに広がる。
国。
土地。
人。
『国ごと奴隷だったんだよ』
『アグナス王国』
『敗戦して、帝国に縛られて』
『選択肢、なかった』
二柱は、少しだけ真面目な声になる。
『そこに来たのが、メイ』
『自覚なし』
『善意全開』
『ポーション過剰』
『結果』
『人、救いすぎ』
『国、強くなりすぎ』
『愛、集まりすぎ』
下界では、民が笑い、土地が潤い、国が繁栄している。
『だからさ』
『これは、ルイだけの話じゃない』
『元奴隷だった「個人」と』
『元奴隷だった「国」』
『その両方が』
声を揃えて。
『愛される側に、ひっくり返った話』
『救われた』
『選ばれた』
『囲われた』
『溺愛された』
『本人は「詰んでる」って言ってるけどね』
『胃、痛そうだし』
『でも幸せ』
二柱は、満足そうに頷いた。
視線が、ふっとこちらを向く。
眩しい。
眩しすぎる。
『次は、君の番にする?』
『どんな世界で、愛されたい?』
問いかけられた瞬間。
光が弾ける。
祝福の残光。
物語の余熱。
目を開けていられないほど、まぶしくて――
「……!?」
世界が、反転する。
笑い声だけが、遠くで響いた。
『大体、詰んでる』
『でも、ちゃんと幸せ』
『それで、いいんだよ』
――物語は、ここで終わる。
でも、愛される世界は、まだ続いている。
誤字脱字修正しましたm(_ _)m




