表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元奴隷から愛される異世界生活。  作者: ChaCha


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

159/165

溺愛される詰んだ元悪役令嬢

最終話

私は、はっきりと理解している。


――愛されすぎている。


そして、そのせいで。


胃が痛い。


「……うぅ」


朝から胃を押さえ、私は自室で唸っていた。

原因は分かっている。


祝福。

感謝。

信仰。

溺愛。


全部、私に向いている。


「よし……これはもう……」


私は机の上に置いてあった自作ポーションを手に取った。

胃を労わるための、いつものやつ。


「えいっ」


一気飲み。


……効いた気がする。

多分。


鏡の前に立つ。


「……よし」


深呼吸。


…………。


……キラキラが、おさまっ……


らなーーーーい!!!


「……クッ、なぜ!!!」


思わず声が出た。


肌が淡く光る。

髪がきらり。

睫毛まで主張してくる。


(違う! 今日は控えめに生きたいの!!)


鏡越しに、後ろを見る。


そこには、腕を組んだレオが立っていた。


……肩が、震えている。


「……あーにーきー!!!」


抗議すると、レオは咳払いをしてから、にやっと笑う。


「いや、相変わらず可愛いなーと思ってな」


「それが困るって言ってるの!!」


「ははは」


笑ってる場合じゃない。


「……癒しがいる!!」


そう言った、その瞬間。


「はい」


完璧なタイミングで、扉が開いた。


カゴを持って現れたのは、ルイ。


……早すぎない?


「……もしや……監視されてるのでは!?」


「偶然です」


即答。

でも目が笑っている。


私はカゴからクッキーを一枚摘む。


「……はい。あーん」


差し出すと、ルイは自然に口を開けて、ぱくり。


指先に、唇が軽く触れた。


「美味しいです」


昔から変わらない、あの穏やかな笑顔。


……胸が、きゅん。


「……っ」


(ダメ、胃に悪い……)


「俺の分はー?」


横からレオが口を挟む。


「はーい。あーん」


ぱくり。


「お! 今日のは夏仕様で塩気がある」


「ほんと?」


私も一枚、口に入れる。


……あっ、美味しい。


「好き」


言った瞬間。


「俺もだ」


重なる声。


ルイとレオが、同時に言った。


顔を見合わせて、二人とも苦笑する。


私は、思わず吹き出した。


「もう……」


城に住む人たち。

廊下を行き交う人々。

庭で笑う声。


――ここには、穏やかな日常がある。


奴隷だった過去も。

追放された記憶も。


全部、遠い。


メイ・シルヴァは、今――


王妃で。

女神扱いされて。

兄に守られ。

夫に溺愛されている。


「……愛されすぎて困っちゃうね!」


そう言って笑うと。


ルイは、静かに微笑んだ。


「困るなら、もっと守ります」


レオは肩をすくめる。


「詰みだな」


――うん。


これは、完全に。


詰み。


でも。


世界でいちばん、幸せな詰みだ。


私は、今日もキラキラしながら、生きている。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ