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私は何も経験していない。厳密には、私は何も経験しなかった。それを経験したのは彼らであって、私はずっとただそこにいただけだった。それでもそれは私にとってかけがえのない、私の人生を決定づける経験だった。
小学三年生の頃、一人の男の子と出会った。それも正確ではないのだが、彼にとって私は初対面の相手だった。けれども私にとって彼は同じクラスの「ヤマミリョウ」であった。ただヤマミリョウはヤマミリョウであっても、彼は別の世界のヤマミリョウだったのだが。
それは本当に不思議な話だった。普通に考えればありえない話だった。彼はこう話した。自分は神社でかくれんぼをしていて井戸の中に隠れた。その中で眠ってしまった。目が覚めて外に出ると、そこはまったく別の場所であった。知らない街であった。その街のすべては見たことのないものだった。そうして歩いていると、私に声をかけられた。私にとって彼は同じクラスのリョウくんだったが、彼にとって私はまったく知らない人間だった。彼の世界には私はいなかったのだ。ともかく、私は彼も、リョウくんも通う小学校まで彼を連れて行ったが彼はやはりそこは自分が通う学校ではないと言った。その後彼はこの世界の自分の家に帰ったが、その家族も自分の知る家族とはまったく別人であった。そして本来この世界にいたはずの「ヤマミリョウ」も忽然と姿を消していた。そうして彼はこの知らない別の世界で「ヤマミリョウ」として生きることになった。つまるところ彼は「別の世界」からやってきたヤマミリョウだったわけであった。そして彼の代わりに元々「この世界」にいたヤマミリョウは消えてしまった。
私はその話を信じた。というよりそれを真剣に語る彼を信じた。彼は本当に困り果てていて、助けを求めているように見えた。だから彼の力にならないなんてことはありえなかった。彼が元の世界に戻れるよう協力した。一緒にその方法を探した。でも私たちはまだ九歳の子供で、できることは限られていた。結局彼は帰ることができず、元々いたリョウくんがこの世界に戻ってくることもなく、一年が過ぎた。
その一年は楽しかった。秘密の共有が私たちを特別な関係にしていた。それがなくても私たちはしょっちゅう一緒に遊んでいた。九歳の私たちにとっては男女の違いなど関係がなかった。本当にいろんなことを一緒に経験した。共有した。彼も次第に元の世界に戻ることを諦めていったように見えた。子供の私たちには、本当にできることは限られていた。すべてを受け入れ、その世界に順応するしか生きるすべはなかったのかもしれない。ともかく、彼は私にとって一番の友だちになった。一番の大事な人になっていた。かけがえのない存在。このままリョウくんがずっとここにいればいいのに、元の世界に戻らなければいいのに。そんな思いも頭に浮かんでいた。けれどもそのたび罪悪感で苦しくなった。彼が本当はどう思っているのか。毎日帰りたくて仕方がなくて辛い思いをしているのか。それはわからない。わからなかったが私がそれを願うのは間違っているように思えた。それと同時に彼がいなくなるという事実を考えるのが怖くなってもいた。彼がいるのが、そのリョウくんがいるのが、いつの間にか当たり前になっていた。
けれどもそのうちそんな恐怖も願いも考えないようになっていた。あまりにも何も起きなくて、あまりにも変化のない毎日で、昨日が明日も明後日もずっと続いていくかのように錯覚していた。それは子供なのだからある意味しかたのないことだった。慣れだし、子供はそんな明確に未来のことを考えることなどできない。今のことで精一杯だ。だから私も、そんな毎日にいつしか飲まれていた。何事もなく今日も明日も同じ毎日が続いていくと、そう思い込んでいた。
けれどもある日、なんの前置きもなくそれは一変した。
*
私はひと目見た時、それがわかった。私には、ひと目でそれがわかってしまった。その朝、学校に現れた彼。その顔を見て、途端にゾッとするような恐怖が襲ってきた。見た目は何も変わらない。姿形は昨日までのリョウくんと何も変わらない。けれども、私にはわかってしまった。その顔で。その表情で。
私を見る、その目で。
「――おはよう」
彼は、リョウくんはぎこちなく、私の方を見てそう言った。その振る舞いが決定打であった。けれども私は認めたくなかった。
「――リョウくん……?」
私はそう、尋ね返していた。
「あ、うん……おはようアスカ」
「……君は、もしかして、こっちのリョウくん……?」
私は思わずそう言っていた。その言葉に、彼は目を丸くした。
「え、こっちのって……」
「……リョウくんは、君は、元々こっちの世界にいたリョウくんなの……?」
「なんでそれを……」
彼は心底驚いたような顔をしていた。けれども私にはそれに構っている余裕などどこにもなかった。私は彼の手を引っ張り、走り出していた。そうしてあの、一年前のあのリョウくんの登校初日にも訪れた渡り廊下の端っこまで引っ張り出していた。私は息を整え、改めてリョウくんを見た。
「――君は、ほんとに、こっちの世界のリョウくんなの……?」
「――そう、だけど、でもなんでアスカがそれを」
「……リョウくんは? もう一人の、昨日までこっちにいたリョウくんは!? 家にいなかった!? もう一人リョウくんが、自分がいなかった!?」
「家には、俺は俺しかいなかったけど……」
俺。その一人称。ただそれだけの違いなのに、私にとっては世界が割れるかのような絶望があった。あまりにも決定的な違い。違う。彼は、彼ではない。あの、ヤマミリョウではない……
「待ってよ。どういうこと? 俺がもう一人ここにいたってこと? もう一人っていうか別の俺が」
その質問に、私は黙って頷く他なかった。
「そうだったんだ……やっぱりっていうか、そうかもしれないとは思ってたけど……」
「……ねえ、リョウくんは? 君じゃなくて、昨日までここにいたリョウくんは、どこにいるの? どこに行っちゃったの? もうここにはいないの?」
「それは、わからないよ……俺はそいつのこと見てないし。でも普通に考えれば入れ替わりになったっていうか、俺がこっちに戻ってきたってことはもう一人の俺もあっちに戻ったってことだと思うけど……」
「……家に連れてって。お願い。リョウくんを探させて」
「……絶対いないけど」
「それでもいいから。お願い」
私は彼の袖を握り懇願した。彼が元の世界に戻ってきたばかりなどということは、その時の私には考慮する余裕はなかった。ただ彼に会いたかった。彼を探さなければいけないと思った。彼を、見つけなければと。
彼がいなくなってしまったなどと、認めることはできなかった。
「でも今は学校が」
「いいから。お願い。お願いだから……」
知らないうちに涙が出ていた。その涙で彼も断ることができなかったのだろう。彼は仕方なしに頷いて、二人でこっそり学校を抜け出しリョウくんの家へと向かった。
リョウくんの家には何度か入ったことがあった。どこが彼の部屋かも知っていた。家には当然誰もいなかった。彼の両親は仕事で、姉は学校。そして当然、私が探す「ヤマミリョウ」の姿も、どこを探しても見つからなかった。
私は、愕然としてその場に崩れ落ちていた。
「リョウくんは、あの、もう一人のリョウくんは、どこにいるの……?」
「……知らない。俺にはほんとにわからなくて……」
「……もうここにはいないの?」
「わからないけど、俺が戻ってきたってことは、多分……」
「もう、リョウくんには会えないの……?」
「……そのもう一人の俺のことを言ってるなら、わからないけど、多分……」
私は、泣き出した。声を上げて、その場にへたり込み、泣きじゃくった。涙が止まらなかった。そんなふうに子供のように泣いたのは本当に久しぶりのことだった。けれども悲しみが抑えられなかった。涙を、抑えることができなかった。
彼は行ってしまった。彼は消えてしまった。彼は、自分の世界に戻ってしまった。もう会えない。もう二度と、会えない。その事実が、痛いほど重くのしかかってきた。
もう、彼は、この世界のどこにもいないんだ。
でも、そんなの認めることはできなかった。受け入れることはできなかった。私はただ、彼に会いたかった。もう一度でいいから、彼に会いたかった。そんな、急に、そんなこと、あっていいとは思えなかった。
リョウくんが――こっちの世界のリョウくんが、ティッシュボックスを差し出してくれた。私はそれを受け取り、涙を拭き鼻をかんだ。ゴミ箱がすぐにティッシュでいっぱいになってしまった。
「ありがとう……ごめんね」
「いや、いいよ……」
彼は気まずそうにそう言い、立ちすくんでいた。
「ごめんねほんと。こんないきなり家に押しかけて、いきなり泣いたりして……」
「いいよ別に、それくらいは……俺も、学校いるよりは楽だったと思うから……」
彼はそう言い、私の前に、床に腰を下ろした。
「落ち着いたらでいいんだけど、こっちも、聞きたいことが沢山あるんだ。話してくれるかな。俺も、正直まだ困惑してるし、何がなんだかわからなくて……」
「そうだよね……今日、いきなり戻ってきたんだもんね……ほんとにごめんね。私、自分のことしか考えてなくて……」
「いや、いいよそれは……わかんないけど、多分しょうがないんだし……」
「うん。でもなんでも聞いて。協力するから。その前にだけど、私の方からも確認していいかな」
「うん」
「君は、元々こっちの世界にいたリョウくんなんだよね? 去年の九月まで、こっちの世界にいた」
「うん、そうだよ」
「……その前まで、ずっとここにいて、ここで生まれて育って、それであの学校にも通ってて、私とも遊んだりしてた、あのリョウくんなんだよね……?」
「うん。だから、アスカと会うのは、俺にとっては一年ぶりになるけど……」
「そっか……君も、この一年別の世界にいたの?」
「そうだけど、アスカはなんでそれを知ってるの?」
「……こっちにいた、こっちの世界に来た、リョウくんから聞いたから。そのリョウくんが、君と同じだったから。別の世界にいたけど、知らないこっちの世界に来ちゃったって」
「そっか……同じだったんだ、こっちの俺も……あっちの世界にいるはずの俺がいなかったから、もしかして入れ替わりになってるんじゃないかとかは思ってたけど、ほんとにそうだったんだ……アスカは、その話を信じたの?」
「……うん。信じた」
「……どうして? 俺が言うのもなんだけど、だってそんな話、普通絶対誰も信じないじゃん」
「かもしれないけど、でもリョウくんは、あのリョウくんは、すごく真剣で、すごく困ってたから。本当に、助けを求めてるように見えたから」
「そっか……俺も、あの時は、最初はほんとに大変だったからね……全然知らない場所で、知らない人ばっかりで……俺は、誰にも言えなかった。言ったけど、親には話したけど、信じてもらえなかったし、バカにされたし、怒られたし……それでもう、誰にも話しちゃダメだって……」
「そうだったんだ……ほんとに、大変だったんだね……でも、じゃあ、なんで戻ってきたの? いつ戻ってきたの? どうして、何があったの?」
「それは、俺もわかんない……昨日普通に寝たんだ。あっちの世界で、二段ベッドで普通に寝て。あっちの世界ではさ、二段ベッドで、ねーちゃんと共有だったんだけど、でも起きたら、その二階部分が、天井がなくなってて……こっちの世界に、戻ってきてたんだ……ほんとに、ただ寝て起きただけなんだよ。何もしてないし、何もなかったし。でも起きたら、こっちに戻ってて……俺だってまだ信じられないっていうか、ほんとに困惑してるし……ほんとに俺は、戻ってきたんだよね?」
「……そうだと思う。そのはずだと思う。それはリョウくんにしか、君にしかわからないことだと思うけど、色々確かめてみて、確信がもてたなら、多分そう」
「そっか……ほんとに、俺は戻ってきたんだ……」
彼はそう言い、深く息をついた。
「――起きた時に、他に誰もいなかった? もう一人のリョウくんとか、誰も」
「いなかったよ」
「……そんなこと、絶対に有り得ないってわかってるけど、リョウくんが、演技してるとか、ドッキリで、私のこと騙そうとしてるとか、そんなことは、リョウくんは絶対しないもんね……」
「……もう一人の俺のことは知らないけど、違うよ。俺はそんなことしてないから」
「だよね……ほんとにごめんね。せっかく戻ってきたっていうのに……」
「うん、まあ……そのもう一人の俺っていうのはさ、俺だった?」
「え?」
「俺っていうか、どれくらい俺だった? そっくりっていうか完全に同じ人?」
「……見た目は、ほとんど同じ」
「そっか……でもアスカは、すぐ気づいたよね」
「……私を見る目が、リョウくんじゃなかったから」
「ああ……俺も一年ぶりだし、ほんとに戻ってきた実感なんてなくてすごくビビってたからね。クラスだってわからなかったし……それでその、アスカが事情知ってるならできれば協力してほしいんだけど、いいかな」
「うん……もちろんいいけど、協力って?」
「この一年のことっていうか、俺が知らないこといっぱいあるだろうし、それにそのもう一人の俺との違いっていうかさ。急に変わって怪しまれるのも大変だから」
「そっか……そうだね。もちろん。まずリョウくんは、今までいたリョウくんだけど、俺じゃなくて僕だった」
「こっちの俺まだ僕のままだったんだ。戻せるかなぁ……」
「あと口調も多分ちょっと違う。もっと昔の感じ」
「昔の感じかぁ……あっちの友達につられて結構変わってるのかな俺も」
「うん……気づかなかったけど、ごめんね」
「え、なにが?」
「リョウくんだって、君にだって、あっちにも友達とかたくさんいて、それなのに急に離れ離れになっちゃったんだもんね……それなのに私、自分のことばっかりで……」
「ああ、うん、いいよ……そういえばそうっていうか、忘れてたけど、でもそっか……多分、もうみんなには会えないんだよね……」
彼はそう言い、急に悲しみが押し寄せてきたのか、スッと涙を流した。それに気づいたのか、慌てて涙を拭い隠すように顔を覆う。
「隠さなくてもいいよ」
「いや、なんていうか……自分でも泣くなんて思ってなかったし、人の前で泣くとかそんな、恥ずかしいしダサいし……」
「ダサくなんかないよ。当然だよ。大事なものをなくしたんだから。泣くのが普通だよ。気が済むまで泣くのが、一番だよきっと」
「……だとしても、やっぱ男としての意地はあるから」
彼はそう言い、ずびっと鼻をすするとティッシュで鼻をかみ、目元を拭った。
「――こんなことさ、絶対にアスカ以外に、全部知ってるアスカ以外に話せないから、話しちゃってもいいかな……?」
「うん、もちろん。なんでも話してよ。なんでも聞くから」
「そっか。ありがとう……みんなさ、いい人だったんだ……俺はほんとに、あっちの世界で、なんにも分からなくて、なんにも知らなくて、知らない人ばっかりだったし、俺はみんなが知ってる俺じゃなかったんだけど、でもみんな、優しくてさ。家族も、いい人たちで。俺が本当の家族じゃないのに、もちろんそんなことは知らないんだけど、それでもほんとにいい人たちで、ほんとに助かったんだ……」
彼はそう言い、少し鼻をすすった。
「あっちの友達も、俺が前と違うのに、別人なのに、もちろんそんなの知らないけど、でもみんな仲良くしてくれて……ほんとに、仲良くなれたんだよ。ほんとの友達になれたんだよ。それに、ほんとに救われて……みんな、ほんとにいいやつばっかでさ。そりゃケンカとかもしたけど、でも、楽しかったし……」
彼はそう言い、また鼻をすすった。
「もう、みんなとは、誰とも会えないんだろうなあ……そりゃこっちに帰ってきたかったし、家族も、友達もみんな会いたかったけどでも、あっちのみんなとだって、また……」
彼はそう言い、鼻をすすり、目元を拭った。私はティッシュボックスを差し出した。彼は黙ってそれをとり、涙を拭き鼻をかんだ。
「ほんとごめん、こんな話しして。泣いたりして」
「いいよ。当然だよ。多分私以外には話せないだろうし。なんか私たち、どっちも泣いてるね。今まで泣いたとこなんて見せたことなかったのに」
「そうだね――あの、もしかしてさ、その、アスカは、そのもう一人の俺というか、こっちにいたリョウのことが、好きだったの……?」
不意に襲ってきたその問い。自分でも、深く考えずに来た、その事実。
私は、彼のことが好き。
そうなのか。そうだったのか……そうだったんだ。私は、彼のことが、本当に好きで……
気づいたら、また涙が溢れ出てきていた。
「ごめん! ほんとにごめん! 聞くべきじゃなかったよね! ほんとにごめん! 全部俺が悪いから、その、ほんとにごめん!」
「ううん、いいの。ありがとう。おかげで私も、はっきりわかったから」
私はそう言い、涙を拭った。
「うん、そうなんだ。私は、リョウくんのことが好きだった。ほんとに、本当に大好きだった」
「そっか……それは、なんていうかその……ほんとに、残念だったね……」
「うん……でも、まだ諦めてないから」
「え?」
「まだ、リョウくんがあっちの世界に戻ったって決まったわけじゃないから」
「それは……」
「まだこっちの世界にいるかもしれない。だから探す。それに、あっちの世界に行くこともできるかもしれない。お互い行き来できるかもしれない。そういう可能性だってゼロじゃないから。リョウくんが、君が戻ってきたせいでさ、慌てて家から逃げ出して、まだどこかに隠れてるって可能性だってあるわけじゃない?」
「それは、もちろんゼロではないと思うけど」
「なら探す。ゼロじゃないなら。まだどこかにいて、私の助けを待ってるかもしれないから」
「……もしそうなら、見つけてあげないとだもんな……俺も協力したいけど、でもドッペルゲンガー見ると死ぬって言うしね」
「はは、それ信じてるんだ」
「いや、信じてるっていうか、実際もう一人自分がいたっていうのを知っちゃったからね……それに一緒にいるとこ見られたらごまかしようがないし」
「そうだね……リョウくんはさ、なんであっちの世界に行っちゃったの? きっかけっていうか」
「……もちろん理由なんてわからないけど、でも井戸に入って」
「井戸!? 神社の!?」
「そうだけど」
「一緒だ! もう一人のリョウと一緒! リョウくんも井戸に入って、そこで寝ちゃって、そしたらこっちに来てたって」
「同じだ……俺もそうだったよ。あそこの神社でかくれんぼしてて、井戸が入ったから隠れて、寝ちゃって、出たら別の街で」
「その井戸は!? どこ!? どこにあった!?」
「そこのお蚕神社だけど。でも俺もさ、戻るために出てきた井戸探したんだけど、なくなってたんだよ。確かにそこから出てきたはずなんだけど探しても聞いてもそんなのなくて」
「それも一緒だ……リョウくんも、自分が出てきたはずの井戸がなくなってて」
「そこまで一緒なんだ……二人が同時に井戸に入ったからとかそういうのなのかな」
「かもしれないね……リョウくん、そこに案内してくれる?」
「いいけど、でも多分何もないよ」
「それでも、自分の目で確認したいから」
「……わかった。けど、さすがに今は学校行かないと。どっちも荷物置いたまま来ちゃったし、先生も探してるかもしれないから。俺も戻ってきたばっかであれだけど、だからこそ面倒とか起こしたくないし」
「そうだよね……ごめん」
それから私たちは学校に戻った。先生には忘れ物をしたとかそういった理由だと嘘をついた。そうして放課後になってから、リョウくんの案内で神社の井戸を探しに行った。




