Episode:成神つなぐ<ナルカミ ツナグ>(テレパシスト)
私は成神つなぐ51歳男独身、たった今、会社をクビになった。
全国の事務作業を集約して行う ”事務センター”の一人のマネージャーだった。
理由はつまらん正義感から正しいと思ったことを上司に伝えただけ、会社の方針に逆らう問題社員として遠回しの解雇宣告だった。
そして会社を出て帰宅途中・・私は空に向かってこう叫んだ。
「チクショウ」・・
その時 ”パチン”とスイッチの入る音が頭の中でした、同時に私の意識が叫んだ空の方向にグーンと伸びていく感覚が・・空・大気圏・宇宙へと伸びる。
場面は宇宙へと移る。そこには全宇宙をめぐり知識のすべてを収集した3つの精神生命体の乗る未確認飛行体があった。
周りを見渡している精神生命体が、真ん中に座している一際大きな精神生命体に「この地球を含む天の川銀河の探索で最後ですね。」といよいよ使命を果たしたと喜び、確認を発した。
「ああ、全宇宙すべての生命体や物質の能力、歴史、知識を集めた、これで、我々は全宇宙の支配者になるのだ。」
すると飛行体を操縦していると思われる3つ目の精神生命体が故郷のある方向を見ながら「一度、故郷の星に帰還しましょう。」と嬉しそうに発した。
そんな会話のなかで、あれはやってきた。チクショウと同時に発せられた成神つなぐの精神感応波である。その精神感応派は3つの精神生命体の知識すべてをスキャンして、成神の眠れる能にコピーした。
成神は突然頭がジーンとして、大きな耳鳴りが襲った、成神は自分の身に何が起きたのか、わからずパニックを起こした。
「はっ、なっ、なんだ、なにかが頭に、流れ込んでくる。」
この時、流れ込む知識と同時に子供のころの記憶も封印が解けるように蘇ってきた。
5歳の成神が従弟のよっくんに何かを言っている場面だった。
「よっくん、オデコから血が出てるよ!」
幼い成神の告げた言葉に従弟の母がすぐに息子に駆け寄り顔を見て安堵の息をついた。
「つなぐちゃん何言ってるの、何ともなってないよ、びっくりするじゃない!」
こう言うとみんなの視線が幼い成神へと向けられた。
それは、おばあちゃんの葬儀の日、親戚一同が集まった時のこと、次の瞬間、従弟のよっくんは柱に頭をぶつけて額から流血した。
すべての親戚はそろって、幼い成神の予言より、彼の言葉がこの事故を起こしたのだと誤解し疑いさえ覚えたのだった。
幼い成神は、この時から、この力は使ってはいけないと、抑え込むことにしたのだった。
内なる力を抑えるため、外から同等の力で抑えて続け、50年近くが過ぎた、その力は内と外を均衡させるが、成長とともに倍々と大きく膨れ上がっていたのだった。