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「な、なんじゃ……!?」


 出発する準備ができた頃合い。

 突如、爆発音と思わしき音が聞こえてきた。


「割と近い」


 そこまで大きくはなかったが、ミリア曰く割と近いとのこと。


「行こう?」


「おう、そうしようぜ」


 何が起きたかは知らないが、聞こえてきたのが山の下の方だし、仲間も心強いし、そもそも彼女行く気満々で止まる気がなさそうだしということで、とりあえずそこを目指してみることにした。

 人がいたら道を聞けるかもしれないしな。

 タマラさんは乗り気じゃなさそうだけど。


「厄介そうじゃったら妾は帰るからの。面倒ごとは嫌いじゃ」


 ミリアを先頭に歩いていると、タマラさんがそう呟いた。

 まあ他人事に巻き込まれたい人などほぼいないから、この心持ちは至極当然のものだろう。

 三人の中で恐らく一番まともかもしれない。五十年ニートしてるけど。

 ちなみに飛ばずに歩いてるのは、ミリアが食後だから歩くと言ったからである。


「じゃあ何でさっきは助けてくれたんだ?」


 そこが少し気になった。恐らく無視もできたはずだから。


「め、目の前であんなことが起きてたら普通助けるじゃろう……」


 わざわざ首は突っ込まないけど、見える範囲で困ってる人がいたら相手がドラゴンでも見捨てられないタイプの人らしい。

 良かった、こういう性格の人で。

 もしあそこで無視されてたら、あの恐怖体験が長引く所だったもの。俺たちだけじゃご飯も食べれなかっただろうし。

 流石ケモ耳。流石タマラさん。


「あ」


 不意にミリアが止まった。

 どうしたのかと目線の先を見てみると人が倒れており、またその前にはドラゴンがいる。

 そして今まさに攻撃を繰り出そうとしていて──、


「っ! シル……!?」


 俺は思いきり地を蹴りスタートを切った。


「ふっ」


 飛行能力で宙を飛びつつ、全速力で地も駆ける。

 速度はどんどん上がっていき、移り変わる景色は電車に乗ってる時のよう。

 あっという間に倒れた男性のもとへ辿り着いた。


「よっと」


 彼を攫い空中へ飛び上がると、遅れて竜がその腕を振り翳した。

 当然当たることはない。


「ふふん」


 ご飯の最中にこれを思いついてやりたいと思ってたんだが、まさかこんなぴったりな状況で成功させてしまうとは。

 俺すごいのかもしれない。体が思い通りに動きすぎてめちゃくちゃ楽しい。

 悪魔族様様だ。

 まああのドラゴンを倒すとかは出来ないと思うけど。攻撃する魔法とか知らないし。


「ん? 小っちゃいな」


 こちらを睨んでくるドラゴンは、上からこうして見てみると結構、いや大分小さい。

 追いかけてきたあの殺意マシマシなドラゴンとは比べ物にならない。

 頑張れば俺でもなんとかいけるかもしれない。

 なんて思っていたら、突然ドラゴンが氷漬けになった。


「え……!?」


 そしてその氷像の前に現れる桃髪幼女と金髪狐娘。

 ミリアとタマラさんだ。


「シル、危ないことはしちゃだめ」


 ゆるっとこちらに飛んできてそう言うと、手を引かれて地面に連れ戻された。

 抱えていた男性も浮かせて運んでくれる。

 彼は気を失っているようで、起きる気配はなかった。


「やっぱり危なかったか……?」


「うん」


 行ける気しかしてなかったが、確かに少し遅れていたら攻撃を喰らってしまうし、結構危なかったかもしれない。

 今後はなるべく心配させるようなことは控えるようにしよう。

 俺もなんかバリアみたいな魔法覚えたいなぁ。

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