表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/88

シャールとの出会い 2

 ちなみに私はその数日後からシャールと一緒にいる。


 フィガロ様の儀式後、母の実家のアウスバッハ辺境伯領のアギール城で滞在している間に、おじい様から両親含め私にアウスバッハ家の遠い親戚の子だという銀髪に青銀の瞳をした私と同じ年「シャール」という名の子供を紹介された。


 十七歳の今の私は同年代より若干、多分若干……背が低いけれど、当時、三歳児でも背丈が三歳児にしては大きいと言われていた私より骨太で、しかも全体的にがっちりした体躯の幼児シャールは、アウスバッハ家の黒髪黒目のおじい様、叔父様、お母様、そして栗色の髪に菫色の瞳のおばあ様を含め、髪と瞳の色も顔立ちも誰にも似ていなかった。

 まあ、確かに昔は端正な顔立ちだったおじい様に似た母は美女として名高く、その美しさは妹に引き継がれているけれど、シャールの場合、性格は別として、顔のパーツは良くても目つきが鋭すぎるし、雰囲気が……とにかく幼児なのに口調はともかく、居るだけで周りを威圧する雰囲気がある子供だった。

 

 なぜか当時の私は、その子がジルレ家で会った精霊のシャールだと分かった。

 思い返せばそれは不思議なことで、今はレオ君も角の跡と自己紹介やシャールの話を聞かなかったらきっと人の子だと判断するだろうし、たまに完全な人の姿に扮した他の種族が街に買い物しているという話は聞いたことはあるけれど、見破るような特殊な力はない。


 まあ、そんな不思議な過去の話は置いといて、初めて家族にシャールが紹介された後、両親が去っておじい様とシャールだけになった時に、こっそりシャールはジルレ侯爵家で会った精霊さんかと聞いたら、二人にものすごく驚かれた。

 そして二人からおじい様以外両親にも誰にもそのことを口にしてはならないと約束し、今もその約束は守っている。ただし、シャールが自分で告げた相手は別として。


 ちなみにシャールの正体を知っているのは、今はフィリパ学園の学園長と、アウスバッハのおじい様とジルレ家の先代当主と現当主くらいで、婚約者のフィガロ様はシャールをアウスバッハの一族の者だと思っている。


 おじい様はシャールを両親に紹介する際、私が六歳から通うフィリパ学園の学友兼護衛にするように説得した。

 妻の両親には頭が上がらない父は四の五の言わず、おじい様に言われるままシャールを私の側に置くことを了解し、母は護衛よりも専属の侍女をまず先につけないのかとおじい様に文句を言ったけれど、侍女の件は置いといて、シャールはその日からずっと側にいて、私の成長に合わせて姿を変えて過ごしている。


 最近聞いた話だけれど、私がシャール初対面後に、シャールはジルレ家の城に来ていたおじい様と、ジルレ家の先代当主と当主と何やら交渉したらしく、私の遠い親戚の子供として扱い、私の護衛役として自分をつけろと売り込んだらしい。


 そして私の護衛、シャール・フォン・アウスバッハと名乗っておじい様の親戚の子と偽り生活し始め、今では彼もフィリパ学園の学生だ。


 ちなみに私とフィガロ様の婚約話は、妹が生まれたころ、娘が二人いるのなら、我が家に魔力が桁外れに多い娘とフィガロ様を将来結婚させてほしいとジルレ侯爵家から縁談の話がやってきて整ったが、その話も裏でシャールが一枚噛んでいるらしい。


 そしてシャールは私がフィガロ様に会いに行くと率先して彼と遊んでいた。


 幼いころから利発で、穏やかな性格のフィガロ様はそのまま次期当主となるべく頑張っていると思う。

 ただ、彼は養子であるということと、魔力が少ないという負い目を感じながら日々送っている感は否めない。

 まっすぐな黒髪に涼しげな蒼色の瞳のフィガロ様は、今はどこか憂いのある美少年に育った。

 その見た目の良い彼を、妹のエロイーズは将来の義理の兄なのだからと、何かと理由をつけて買い物に連れだしていた時期もあった。


 でも、妹にこの国の貴族の中でも特に権力が強い二大公爵家と言われるマイエルリンク公爵の次男ルドヴィク・フォン・マイエルリンクという婚約者が決まった途端、その行いがかなりおさまったので、今は不問にしている。


 ちなみにこの妹の婚約者、通称ルーも、これまた正統派のさわやか王子様系イケメンで、栗色の髪にハシバミ色の瞳で、出会った頃は天使のように愛らしかったのに、昨年から急に背が伸びて、今ではフィガロ様とそれほど変わらないほど伸びている。

 でも、シャールやフィガロ様と会うと、こっそりと自分との背の高さを比べている姿がまだ子供っぽくて憎めない三歳年下の可愛い後輩だ。


 周りが「フィリパ学園開校以来の天才児」と呼んでいるし、私も一目置く天才児だけれど、本人はそんなことは鼻にもかけない少年である。


 彼がこの儀式に参加できる年だったら、今日の儀式には私は選ばれていなかったかもしれないほど、優秀な後輩で、妹の婚約者。

 まあ、五年後の儀式は彼がやるのではないのだろうかと思う。

読んでいただいてありがとうございます。

気に入っていただけましたら、ブックマークと応援よろしくお願いします。

また、お恥ずかしながら、誤字脱字ありましたら、報告よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ